新宮 晋(しんぐう すすむ)
新宮晋は
1937年7月13日、
大阪府
豊中市に生まれた著名な
彫刻家であり、遠縁に
洋画家の
小磯良平がいる。彼は
1960年代から風や水の力を利用した動く彫刻を創作し、「風の
彫刻家」として広く知られている。また、絵本作家や舞台の
演出家としても多彩な活動を展開している。
経歴
新宮は豊中高等学校を経て、東京美術学校(現在の
東京芸術大学)へ進学。
1955年に入学し、卒業後は
イタリア政府の奨学生として
イタリアに渡る。ローマ国立美術学校で絵画を学び、
1966年には
ミラノのブルー画廊で立体作品を発表。その後、日本へ一時帰国し、
1970年には
日本万国博覧会に「フローティング・サウンド」などの彫刻を出展。
1971年にアメリカの
ハーバード大学で客員芸術家として活動し、
1973年には再び日本へ戻り、
大阪府
豊能町に自らのアトリエを構えた。
1975年には絵本作家としてもデビューし、
1986年には横浜で「自然のリズム 新宮晋展」を開催。
1990年にはアトリエを
兵庫県三田市へ移転し、以降も国内外で数多くの個展や野外展を行っている。また、
三宅一生の舞台装置を手がけたり、様々なプロジェクトに参画するなど、活躍の場を広げてきた。
作風と特徴
新宮の作風は、幼少期から影響を受けた豊中の生家に由来する。彼の父は古裂の収集家であり、名
画家たちが訪れたこともあり、これが新宮の芸術観に大きな影響を与えた。東京美術学校在学中には油絵の指導を受け、自らも熱心に絵画に没頭していたが、
イタリアで師事したフランコ・ジェンティリーニの影響で、具象描写から抽象表現への転換が起こり、最終的には立体作品を創作するようになる。
新宮の代表的な作品は、風や水に反応し、自然との調和を図ったものが多い。外部に展示される大型のスチール製彫刻が一際目を引く。また、
小磯良平からの提案を受け、軽量な彫刻にも取り組むようになり、かすかな風でも動く作品を制作するなど、常に新しい挑戦を続けている。「空気の専門家」との異名を持つ新宮は、舞台演出や絵本制作にも力を入れ、「キッピスと仲間たち」や「ウィンドキャラバン」などのプロジェクトを通じて自然の大切さを訴えている。
おもな作品
新宮晋は、日本国内外に数多くの彫刻作品を展開しており、その中には「星の計算機」(1967年)や「風の道」(
1970年、
大阪)、また「宇宙へのメッセージ」(1988年、新宿)など、テーマや場所に応じた独特の表現が見られる。彼の作品は、公園や美術館、駅前などの公共なスペースに展示され、見る人々に風や水、光といった自然の要素を感じさせるものとなっている。
著書・受賞歴
新宮は多数の著書を持ち、絵本や自身の作品に関する書籍を発表している。また、数々の受賞歴がある。1979年には吉田五十八賞を受賞し、以降も現代日本彫刻展の賞や文化賞、さらには旭日小綬章などを受け取るなど、彼の芸術的貢献が評価され続けている。
近年の活動
最近では、建築家の
レンゾ・ピアノとのコラボレーションを行い、
関西国際空港でのプロジェクトなどを通じて、アートと建築の融合を目指す活動を通じ、さまざまな表現の場を広げている。新宮晋は、今後も多彩な作品を生み出し続けることでしょう。