新宿駅青酸ガス事件

新宿駅青酸ガス事件

新宿駅青酸ガス事件とは、1995年4月30日、5月3日、5月5日の三回にわたるオウム真理教によるテロ未遂事件です。特に注目されるのは5月5日の事件です。この事件は、新宿駅地下のトイレに設置された青酸ガス発生装置によるものであり、別名では新宿駅地下トイレ青酸ガス事件や新宿青酸ナトリウム装置事件とも呼ばれています。

背景

事件の背景には、1995年3月20日の地下鉄サリン事件があり、オウム真理教は社会の混乱を巧みに利用しようとしました。麻原彰晃は「社会の対立を深めさせ、捜査を撹乱するように」と指示し、特に1995年4月30日に石油コンビナートを爆破する計画を立てていました。この計画には、井上嘉浩や富永昌宏が関与し、実際に爆弾も製造されましたが、爆破解決はできないと判断されたためこの計画は中止されました。

その後、村井秀夫が「尊師の逮捕を防ぐために何でもできることをしろ」との指示を出し、青酸ガステロと都庁の小包爆弾事件の実行が決定されました。当初は、築地や霞が関にダイオキシンを撒く計画が立てられましたが、中川智正が文献調査を通じて青酸ガスの方が短期間で実行可能であるとの判断を下しました。彼は日光山中に隠してあったシアン化ナトリウムを利用し、青酸ガスを散布するテロを実行することに決めました。

新宿駅の厳戒態勢

事件当時、新宿駅は麻原の以前の予言によるもので厳重な警戒が払われていました。具体的には、「新宿で4月15日に地震が起きる」との予言が、人々に「新宿でテロが起きる」という噂を巻き起こしていたためです。当日、特に何も起こらなかったものの、井上はそのデマを活用して新宿駅をターゲットとすることに決めました。

事件の経過

4月30日、5月3日と事件が試みられましたが、装置の故障により青酸ガスは発生しませんでした。最後の5月5日でも装置の発動には成功しましたが、清掃作業員によって早期に発見され、ガスが放出される前に駅員によって適切に処理されたため、事態は大きな問題に至ることはありませんでした。この結果、事前に未然に防がれたため、被害者は出ませんでした。

実行犯の特定と逮捕

事件後、実行犯として特定された信者らは、1995年11月9日付けで殺人未遂容疑で全国に特別指名手配されました。 八木澤善次と松下悟史の似顔絵が掲載されたポスターが鉄道駅などに掲示されました。八木澤は1996年11月14日に、自らの手配ポスターを持参して暴れながら所沢警察署に出頭し逮捕されることになり、松下も同年の11月24日に逮捕されました。

結論

最終的に、麻原が具体的に青酸ガスの使用を指示したわけではなく、彼の指示は主に石油コンビナートの爆破に関するものであったため、裁判では井上が首謀者として扱われました。この事件はオウム真理教による一連の犯罪の中でも特に重要な出来事であり、その影響は現在にも及ぶものです。

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