新戦略兵器削減条約

新戦略兵器削減条約（新START）

新戦略兵器削減条約、通称新STARTは、アメリカとロシアの間で結ばれた核兵器の軍縮に関する重要な条約です。この約束は、2011年2月5日に正式に発効しました。新STARTは、両国の間で核戦力を管理し、削減することを目的としたもので、軍縮の枠組みを確立しています。

概要と背景

この条約は、第一次戦略兵器削減条約（START I）が2009年に失効した後の新たな枠組みとして、アメリカのバラク・オバマ大統領とロシアのドミートリー・メドヴェージェフ大統領が2010年に最終合意に達したことから始まりました。翌年の4月8日、プラハでの署名式を経て、アメリカとロシアのそれぞれの議会による批准が進められました。

新STARTでは、条約発効後の7年以内に両国が必要な軍縮を実施し、その後も最大5年間の延長が可能となっています。この条約は、アメリカとロシアが互いに検証を行うことを前提としており、安全保障の維持に寄与することを目指しています。

条約内容は前文と16条の主要条文、さらに154ページに及ぶ議定書から成り立っており、具体的な数値目標や検証方法が定義されていますが、ミサイル防衛に対する制約は含まれていませんでした。これが両国間での不和の一因となり、ロシア側はミサイル防衛の課題に対して懸念を表明しています。

ミサイル防衛についての懸念

ロシア政府の見解として、アメリカのミサイル防衛システムが戦略核軍力に対する脅威をもたらし、結果としてロシアが条約を破棄する権利を持つとの立場を明確にしています。これは新STARTの交渉過程での重要な争点となり、条約の実施に影響を与える要素として存在しています。

批准と発効

新STARTは、2010年12月にアメリカの上院でいち早く批准され、2011年1月にはロシア上下両院でも批准が完了しました。その後、ミュンヘン安全保障会議において批准書交換が行われ、正式に条約が発効しました。この過程には、双方の国において条約の内容に対する調整が必要であり、そのための交渉が続きました。

現在の状況と今後

2021年1月、アメリカとロシアの首脳が電話会談を行い、条約の期限を延長することに合意しました。しかし、2022年にはロシアのウクライナ侵攻により国際情勢が大きく変化し、条約の履行に対する疑問が浮上しました。そして、2023年に入ってロシアが新STARTの履行を停止するとの声明を発表し、事態はさらに混沌としてきました。

新戦略兵器削減条約は、冷戦後の核軍縮を目的とした試みの一つであり、その影響は今後の国際関係にも大きく寄与するでしょう。兵器削減を目指すこの条約が、両国および国際社会にどのような考え方をもたらすのか、今後の進展が注目されます。

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