新東名高速道路のトンネルと橋

新東名高速道路は、その名の通り東名高速道路の第二路線として、日本の大動脈を担う重要な高速道路です。この道路には、高度な土木技術を駆使した数々のトンネルと橋梁が建設されており、その多くが土木学会田中賞を受賞するなど、技術的にもデザイン的にも高い評価を得ています。本稿では、新東名高速道路の代表的なトンネルと橋梁について、詳細なデータや特徴を解説します。

主なトンネル

高取山トンネル

神奈川県伊勢原市と秦野市に位置する高取山トンネルは、上り線が3,855m、下り線が3,902mの長さを持つトンネルです。

富士川 トンネル

静岡県富士市から静岡市清水区、富士宮市にかけての区間に位置する富士川トンネルは、上り線が4,503m、下り線が4,428mと、新東名高速道路で2番目に長いトンネルです。TBM導坑先進拡幅掘削工法という特殊な工法で建設され、最大掘削断面は262m²にも及びます。また、2012年には笹子トンネルの崩落事故を受けて緊急点検が実施されました。

和田島トンネル

静岡県静岡市清水区にある和田島トンネルは、上り線が1,116m、下り線が1,119mのトンネルです。新東名高速道路の清水PAと新清水JCT間に位置し、テレビドラマの撮影にも使用されました。

伊佐布トンネル

静岡県静岡市清水区と葵区に位置する伊佐布トンネルは、上り線が2,147m、下り線が2,149mの長さで、新清水JCTと新静岡IC間にあります。

粟ヶ岳トンネル

静岡県島田市と掛川市にまたがる粟ヶ岳トンネルは、上り線が4,522m、下り線が4,662mと、新東名高速道路で最も長いトンネルです。大断面の掘削が行われ、その掘削量は日本最大級です。建設中に発生した出水が周辺の断水を引き起こし、住民との間で補償問題が発生しました。

主な橋梁

新相模川橋

新東名高速道路の初期区間に位置する橋梁で、相模川を渡ります。

新富士川 橋

静岡県富士宮市と富士市間に位置する新富士川橋は、日本初の鋼・コンクリート複合アーチ橋です。上り線が365m、下り線が381mで、アーチ支間長は265mあります。2004年には土木学会田中賞を受賞しました。

芝川高架橋

静岡県富士宮市と静岡市清水区に位置する芝川高架橋は、急斜面を通過するために建設された高架橋で、最大橋脚高は83mと新東名高速道路で最も高い橋脚を持っています。2003年に土木学会田中賞、2006年には土木学会デザイン賞を受賞しています。上り線が461m、下り線は110mと278mに分かれています。

内牧高架橋

静岡県静岡市葵区にある内牧高架橋は、ストラット付PC箱桁という特殊な構造を採用し、上部構造の軽量化と橋脚の小型化を図っています。上り線が1,048m、下り線が1,024mで、2006年度に土木学会田中賞を受賞しました。

藁科川橋

静岡県静岡市葵区にある藁科川橋は、新東名高速道路の下層に市道が併設された二層構造が特徴です。逆台形型の橋脚が採用され、2003年に土木学会田中賞を受賞しました。上り線が1,055m、下り線が813mです。

桂島高架橋

静岡県藤枝市にある桂島高架橋は、世界初のリブ・ストラット付き波形鋼板ウェブ橋として、2005年に土木学会田中賞を受賞しました。橋長は216mです。

新大井川 橋

静岡県島田市にある新大井川橋は、駿河湾地震による東名高速道路の通行止め時に、緊急的に一部区間が供用されました。橋長は703mで、最大支間長は127mです。

新天竜川 橋

静岡県磐田市と浜松市に位置する新天竜川橋は、全長1,585mの橋梁です。

都田川橋

静岡県浜松市にある都田川橋は、PCエクストラドーズド橋として国内最大規模を誇ります。中央に3基の主塔が立ち、着色ケーブルが特徴的で、周囲の景観に配慮したデザインです。2000年度に土木学会田中賞（作品部門）を受賞しており、橋長は268mです。

山切第一高架橋

静岡県静岡市清水区にある山切第一高架橋は、新東名高速道路清水連絡路に位置しています。2007年に土木学会田中賞を受賞しました。上り線が717m、下り線が709mです。

これらのトンネルと橋梁は、新東名高速道路の安全と快適な走行を支える重要な役割を担っています。それぞれが異なる構造や特徴を持ち、日本の土木技術の高さを象徴する建造物群と言えるでしょう。

参考資料

酒井修平、太田誠、中積健一、南雲広幸、阿部浩幸「新東名高速道路（引佐JCT～豊田JCT）」『コンクリート工学』第49巻第1号、日本コンクリート工学会、2011年、61-72頁、doi:10.3151/coj.49.1_61。

新東名高速道路のトンネルと橋