新潟中国総領事館の万代小学校跡地移転問題

新潟中国総領事館の万代小学校跡地移転問題

新潟中国総領事館の万代小学校跡地移転問題は、新潟市における中国総領事館の移転計画を巡り、その是非が問われた問題です。ここでは、問題の概要、背景、経過、そして提起された論点について詳しく解説します。

概要

問題の発端は、中華人民共和国駐新潟総領事館が、新潟市立万代小学校跡地への移転・拡張を計画したことにあります。この計画は、新潟駅からも近い一等地を対象としていたため、地域住民や市民の間で様々な意見が飛び交いました。

背景

新潟県は、1998年から長年にわたり中国総領事館の誘致活動を行ってきました。古町地区では、産業の空洞化が進み、商店街から中華街の実現を求める声も上がっていました。当初、朱鷺メッセに開設された総領事館は、後に中国側の希望により万代小学校跡地への移転準備が進められました。

しかし、十分な説明がないまま移転準備が進められたこと、尖閣諸島中国漁船衝突事件による日中関係の悪化などから、移転反対の声が高まり、計画は凍結されることとなりました。

経過

2009年3月: 外務省が中国政府による沖縄中国総領事館設置要望を拒否。代わりに新潟中国総領事館設置が提起。
2010年6月24日: 中国総領事館が万代島ビルに開設。
2010年8月中旬: 中国政府が万代小学校跡地買収を要望。
2010年9月7日: 尖閣諸島中国漁船衝突事件が発生。
2010年9月: 篠田昭新潟市長が市議会に中国から打診があったことを報告。地域住民への説明会も開催。
2010年11月4日: 尖閣諸島中国漁船衝突映像流出事件が発生。
2010年11月18日: 新潟市は中国に日中間の国際情勢などから年内の売却は難しいと報告。
2010年11月29日: 市民団体が新潟市議会に市民理解がないまま土地売却を強行しないことなどを請願。
2011年3月22日: 新潟市議会は、土地の売却方針を見直す請願を採択。
2015年: 公募型プロポーザル方式による売却方針が決定。中国領事館への売却は市民の反対から取りやめ。
2018年: 跡地にロイヤルパークスER万代が完成。

新潟市議会が採択した請願

2011年3月22日、新潟市議会によって以下の請願が採択されました。

請願第49号: 在新潟中国総領事館への市有地売却について、周辺住民や市民の不安を放置したまま土地売却を強行しないこと、国益の損失につながらないか慎重に検討すること。
請願第53号: 中国総領事館に万代小学校跡地を売却することについて、地域の安心安全のために十分な話し合いをすること、売却を白紙に戻し再検討すること。
請願第54号: 在新潟中国総領事館への市有地売却について、周辺住民や市民の不安を放置したまま土地売却を強行しないこと、中国への土地売却は断固白紙撤回を求めること。

論点と意見

誘致の経緯: 新潟県は長年にわたり中国総領事館の誘致活動を行ってきましたが、その過程で十分な情報公開や住民への説明がなされたのかが問われました。
土地の取得: 中国が日本国内で領事館用地を取得することの是非が議論されました。相互主義の観点から、中国国内の日本公館は全て賃貸であるにも関わらず、日本国内の中国公館が土地を取得することの不平等性が指摘されました。
安全保障上の懸念: 総領事館の移転先が、新潟駅に近い一等地であることから、安全保障上の懸念が提起されました。特に、尖閣諸島中国漁船衝突事件以降、中国に対する警戒感が高まり、移転反対の声が強まりました。
跡地利用: 万代小学校跡地は、地域住民にとって長年親しまれた場所であり、総領事館ではなく、地域住民のための施設を希望する声が多く上がりました。

その後の展開

市民の反対運動や日中関係の悪化を受け、新潟市は万代小学校跡地の売却を断念しました。跡地には、高級複合マンションが建設され、現在に至っています。

この問題は、地方自治体における外国公館の誘致、土地利用、そして安全保障といった多岐にわたる問題提起となりました。

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