新潟労災病院

新潟労災病院（にいがたろうさいびょういん）は、新潟県上越市東雲町に位置し、独立行政法人労働者健康安全機構によって運営されてきた医療機関です。地域医療の一翼を担ってきましたが、近年深刻化する医師不足が主要な原因となり、2025年度中にその役目を終え、閉院することが決定しています。

地域医療を支えた診療体制

この病院は、地域の中核病院として幅広い診療科を有していました。具体的には、内科、消化器内科、小児科、精神科といった内科系から、外科、整形外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科といった外科系まで、多岐にわたる専門分野の医療を提供していました。さらに、婦人科、眼科、耳鼻いんこう科、皮膚科、泌尿器科、リハビリテーション科、放射線科、麻酔科、歯科口腔外科、病理診断科も備え、地域住民の様々な医療ニーズに応えていました。

また、新潟労災病院は救急告示病院としての指定を受けており、地域における緊急医療体制の一端を担っていました。このほかにも、各種法令に基づく指定や認定を受け、各学会の認定施設ともなっており、医療水準の維持・向上に努めていました。

医師不足とその影響

閉院の背景にある医師不足は深刻な問題でした。2013年には常勤医が40人体制でしたが、その後の退職などにより、2022年にはわずか11人にまで減少していました。この医師数の大幅な減少が、病院の安定的な運営と高度医療提供を困難にし、閉院という苦渋の決断に至る大きな要因となりました。

閉院の決定と機能移管

新潟労災病院の閉院は、地域の医療提供体制全体を見直す中で決定されました。2023年6月21日に開催された上越地域医療構想調整会議において、同病院の機能や役割を近隣の主要医療機関へ移管することが合意されました。具体的には、新潟県立中央病院や上越総合病院を中心に、新潟県立柿崎病院、知命堂病院、上越地域医療センター病院といった複数の病院が、その医療機能の受け皿となることが計画されています。これにより、地域の患者が引き続き必要な医療サービスを受けられるように配慮が進められています。

交通アクセス

病院へのアクセスは比較的良好でした。最寄りの直江津駅南口からは南東へ徒歩約7分という近さでした。また、頸城自動車の路線バスが病院ロータリー内に「労災病院」バス停を設けており、一部時間帯に限られますが、以下の複数の路線が経由していました。

上越大通り線（平日の一部便のみ）
春日山・佐内線
佐内・春日山循環線
直江津・浦川原線（平日の一部便のみ）
* 南川線

これらの交通手段により、地域住民が病院を利用しやすい環境が整備されていました。

新潟労災病院は、長年にわたり上越地域の医療を支えてきましたが、医師不足という避けられない課題に直面し、閉院という道を選びました。その医療機能は近隣の病院に引き継がれ、地域医療体制は新たな形へと移行していくことになります。

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