新潟-神戸歪集中帯

新潟神戸歪集中帯（NKTZ）とは

新潟神戸歪集中帯（にいがたこうべひずみしゅうちゅうたい、Niigata-Kobe Tectonic Zone, NKTZ）は、日本列島の中央部を、山形県庄内地方南部近海から新潟県、長野県北部、岐阜県、名古屋、滋賀県、名張付近を経て神戸に至る、幅約200キロメートルの帯状の領域を指します。この領域は、地殻の歪みが特に集中していることが特徴であり、新潟神戸構造帯とも呼ばれます。

発見と観測

この歪集中帯の存在は、1990年代に国土地理院による三角・三辺測量のデータ解析によって指摘されました。その後、2000年にはGPSを用いた電子基準点観測網（GEONET）による精密な測量データの解析により、その存在が明確に確認されました。この観測を通じて、歪速度が周囲に比べて10倍程度大きい領域が形成されていること、歪集中帯の直下の下部地殻の電気伝導度が低いこと、地下には比較的柔らかい岩盤が存在していることなどが明らかになっています。

構造と成因に関する議論

新潟神戸歪集中帯は、日本海東縁に延びるプレート境界であるという説と、陸側プレート内部の変形が集中した帯であるという説の二つが提唱されており、現在も活発な調査研究が行われています。プレート境界説は、マントルを含めた地殻の運動モデルの分析からは否定的な結果が得られており、結論はまだ出ていません。

国土地理院は、2005年から2008年にかけてGPSを用いた精密な地殻変動調査を実施しました。その結果、新潟神戸歪集中帯より西側の地殻が東へ、東側の地殻が西へと移動していることが判明しました。これは、互いに押し合う力が働くことで逆断層を形成するような運動であり、その変動量は年間1-2センチメートル程度であることが示されています。

地震活動との関連

この歪集中帯の領域では、M6.0からM7以上の歴史的な地震が多数発生しています。このことは、地殻の歪みが地震発生に影響を与えている可能性を示唆しており、歪集中帯における地震活動の研究は非常に重要な意味を持っています。

関連情報

この歪集中帯に関連する他の構造線や地域として、以下のものがあげられます。

糸魚川静岡構造線
フォッサマグナ
中央構造線
日本海東縁変動帯

参考資料

この歪集中帯に関するより詳細な情報を得るためには、以下の資料が参考になります。

岡村行信, 大竹政和, 平朝彦, 太田陽子, 石川有三, 鷺谷威, 加藤幸弘, 下川浩一, 粟田泰夫, 倉本真一「O-211日本海東縁の地質学的歪み集中帯」『日本地質学会学術大会講演要旨』
ネットワーク MT 法による新潟-神戸ひずみ集中帯の深部比抵抗構造
臼井嘉哉, 上嶋誠, 小河勉 (2009). “新潟-神戸ひずみ集中帯における深部比抵抗構造--広帯域MT法とネットワークMT法のジョイントインバージョン［含 英語文］ [Resistivity structure across the Niigata-Kobe tectonic zone, Japan: joint inversion of Network-MT method and Wideband-MT method]”. Conductivity anomaly研究会論文集
平田直「地震研究最前線 歪み集中帯 歪み集中域」（PDF）『予防時報235』
内閣府による新潟－神戸歪 集中帯についての情報
新潟大学による新潟県中越地震の地質学的背景に関する情報
新潟大学による中越地震の基本的要因と特性に関する情報
地震予知情報センターによる日本列島標準３次元構造モデルの構築に関する情報
神戸安全ネット会議事務局による『新潟－神戸ひずみ集中帯』と日本の地震活動に関する情報
歪集中帯で起こっていることー上部地殻の非弾性変形ー (PDF)
* 鷺谷 威氏による歪み集中帯についての解説

これらの情報を参照することで、新潟神戸歪集中帯に関する理解を深めることができるでしょう。

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