新潮劇院

新潮劇院の概要

新潮劇院（しんちょうげきいん）は、中国の伝統芸能である京劇を日本に広めることを目的に設立された劇団です。この劇団の設立は1996年に遡り、東京都世田谷区を本拠地としています。設立者の張春祥は、三代にわたる京劇の家系で育ち、自身も北京京劇院に所属していた著名な俳優です。

当初、新潮劇院では在日京劇俳優や楽師による公演が中心で、従来の来日公演よりも安価に本格的な京劇を提供していました。このスタイルが評価され、多くの観客を魅了しました。以来、この劇団は日本人京劇俳優の育成にも力を入れ、現在では日本人も主要メンバーとして活躍しています。

公演活動の特徴

新潮劇院は、京劇の普及活動を積極的に行っています。各地での公演やワークショップを通じて、名作「覇王別姫」や古典『骨子老戯』など、幅広い演目を上演しています。また、劇団の名に示される通り、伝統を重んじながらも先進的な芸術活動にも挑戦しています。日本語のセリフを導入し、歌舞伎やミュージカルとのコラボレーション、伝統的な台本をアレンジした創作京劇の発表など、多様な演出が行われています。

日中交流活動と慈善活動

新潮劇院は、日中交流や社会貢献にも取り組んでおり、2008年の四川省大地震や2011年の東日本大震災の際には、急遽チャリティー公演を実施しました。これらの活動を通じて、被災者への義援金を募るなど、地域社会への感謝の気持ちを表しています。

公演スタイル

新潮劇院の公演は、外国の伝統芸能である京劇を日本の観客に伝えやすくするための工夫が随所に見られます。例えば、公演前には専門家によるレクチャーが行われ、観客は京劇の基本的な知識や観劇マナーを学ぶことができます。このことで、観客との一体感を生む舞台作りが実現されています。

日本人向けの演出

京劇独特のスタイルや中国文化に基づくジョークには日本人にも理解しやすい演出が施されています。また、日本人俳優には日本語でセリフを話させることで、観客は字幕の読み取りに煩わされず、ストーリーに没入しやすくなっています。

日本人京劇俳優の育成

新潮劇院では、設立から「日本人京劇俳優の輩出」をテーマに、日本人に対する京劇指導が行われています。2002年からは一般参加者向けの京劇教室が開かれ、生徒たちによる発表会も定期的に開催されています。特に2014年には、教室に参加していた小学生の大島陸が、中国で開催された「中国児童戯曲梅花賞」で金賞を受賞しました。

研修制度の充実

2009年からは中国戯曲学院大学の講師を迎え、本格的な研修制度を導入しました。この取り組みにより、日本人京劇俳優の技術向上を図っています。

主要なメンバー

新潮劇院には、多くの才能ある俳優が在籍しています。中国人からは張春祥や盧思、張桂琴らが活躍し、日本人ではチャンチンホイや張烏梅、塚田拓也などがいます。また、楽師としても洪鋼や許佳、金虹などが参加し、実力あるメンバーが揃っています。

公演履歴と活動の広がり

新潮劇院の公演履歴は1996年から始まり、さまざまな場所で名作を上演してきました。例えば、横浜や名古屋、東京などで数多くの公演を行い、地域の文化祭りや国際フェスティバルにも参加しています。今後も新潮劇院は、京劇の新たな魅力を発見し、発信し続けることでしょう。

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