新知島

新知島の概要

新知島（しむしるとう、またはしんしるとう）は、日本の千島列島の中部に位置する火山島です。そのロシア名はシムシル島（о.Симушир）で、英語ではSimushirと称されます。この島の名前は、アイヌ語の「シ・モシリ（大きい・島）」に由来しており、その名の通り、壮大な自然環境が広がっています。

地理的特徴

新知島は、その長さが約59km、幅は約13kmほどで、全体の面積は227.6平方キロメートルに及びます。細長い形をしたこの島は、特徴的な火山の列によって形成されています。北東部には、幅7.5kmの半分が海に沈んだカルデラ湖、武魯頓湾（ぶろとんわん）が存在し、この湾は北側の新知海峡と繋がっています。ただし、海峡の深さはわずか2.5mしかなく、以前は掘削計画が提案されたものの、その実現はありませんでした。一方で、武魯頓湾内の最大深度は240mに達し、冬季には北西の風が強く吹くことから、特に船舶にとって安全な避難場所として利用されています。

かつてはソ連海軍の潜水艦艦隊の秘密基地が存在しており、1987年に建設されたものの、1994年には放棄されました。現在でもその遺構は衛星写真で確認できるほど残っています。

主な山々

島内には以下の主要な山々が存在します。

1. 三日月山（みかづきやま） - 海抜676m。
- 武魯頓湾の南側にある山で、島の北部に位置しています。

2. 新知富士（しむしるふじ） - 海抜1,360m（ロシア名：プレヴォ山 プレボ）。
- 中部に位置する最も活動的な火山で、1825年に噴火しています。

3. 緑湖カルデラ（みどりこかるでら） - 海抜624m（ロシア名：ザヴァリツキ・カルデラ）。
- 三重カルデラで、カルデラ湖は濃青緑色の水を持ち、冬も凍結しない特性があります。

4. 新知岳（しむしるだけ） - 海抜1,540m（ロシア名：ミリン山 ミルナ）。
- 島の西南部にあり、最高峰で、1881年と1914年に強い噴火が記録されています。

5. 焼山（やけやま） - 海抜891m（ロシア名：ゴリアシャイア・ソプカ）。
- 新知岳の北西に位置する成層火山です。

新知島のほとんどは針葉樹林で覆われており、国境警備隊がかつて駐屯していたものの、現在は無人島として扱われています。

歴史

新知島の歴史は古く、1633年には松前蝦夷地の一部として言及されています。1644年には、幕府の命により作成された地図にもその名が示されていました。日本とロシアの関係が変化する中で、1875年の樺太・千島交換条約を経て日本領とされますが、その後、島民のロシア国籍選択や戦後の占領により、現在に至るまで島は無人化しました。1945年のソ連の占領後、島はロシア連邦に実効支配されています。

現在は、ロシアの主権下にありますが、日本政府は国際法上の帰属未定地としてその地位を主張しており、解決に向けた取り組みが続いています。

新知島は、その自然環境や火山活動の研究資源としての価値が高いだけでなく、その歴史的背景も含めて非常に興味深い場所です。

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