新聞紙条例

新聞紙条例について

概要

新聞紙条例（しんぶんしじょうれい）は、明治20年12月29日に公式に施行された、明治時代の日本における新聞の取り締まりを目的とした法令です。この条例は、自由民権運動の高まりの中で、政府に対して反対意見を表明するメディア活動を抑制するために制定されました。同様の法律は、1900年に台湾でも導入されています。

歴史的背景

新聞紙条例は1875年6月28日に太政官布告第111号として初めて公布されました。それ以前、幕末期に創刊された新聞の多くは政府に反対する立場をとっており、そのため明治元年には政府からの廃刊命令が下されました。これに対して、治外法権のもとで発行された「万国新聞」や「横浜新報」などは特に知識人の間で広まりました。政府内には新聞業界の振興を望む声もあったため、明治2年には「新聞紙発行条例」が発表され、新聞の創刊活動が活発化しました。

特に、1874年には板垣退助らが民選議院設立を求める建白書を政府に提出する一方で、その内容を「日新真事誌」が掲載したことで、新聞各紙が賛否をめぐる筆戦を展開しました。こうした自由民権運動の声に対し、政府は1875年に新聞紙条例を制定し、特に第4条では報道に従事する者の国籍を内国人に限定したため、外国人編集者による新聞の発行が制限されました。

制定過程と影響

新聞紙条例の制定過程では、元老院の議員である佐野常民らがこの条例が抑圧に繋がる恐れがあるとして反対しましたが、最終的には再提案され、わずかに修正が加えられた後に可決されました。条例施行後、政府による厳しい取り締まりが行われ、1880年までに203名の記者が投獄されています。

1883年にはさらなる改正が加えられ、新聞社に対する発行保証金制度が設けられ、法的責任の範囲が拡大しました。この改正により、44紙以上が一度に廃刊されました。これにより、日本の新聞発行はその数を大幅に減少させ、「新聞撲滅法」と呼ばれるような状況が生まれました。それでも自由民権運動の影響で、政府に対する批判的な文章が書かれることは依然として存在しました。

法律の変化と廃止

1897年には新聞紙条例の改正が行われ、発行停止や禁止の行政処分が緩和され、皇室に関する規制が強化されました。しかし、1909年に新聞紙法として新たな法律が制定され、新聞紙条例は正式に廃止されることとなりました。

内容の概要

新聞紙条例の主要な内容には、発行の許可制、違反時の罰則の明示、社主、編集者、印刷者の責任、内国人による社主の限定、記事の筆者を明記することが義務付けられるなど、様々な規定が設けられました。また、社会的に問題視される内容や裁判に関する報道に対する厳しい制限も含まれていました。

このように新聞紙条例は、明治時代の日本における言論の自由とその制限を象徴する重要な法令であり、今日のメディア環境を理解するためにも欠かせない歴史的な背景を持っています。

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