新谷尚紀

新谷尚紀：日本の民俗学をリードする第一人者

新谷尚紀氏（1948年生まれ）は、日本の民俗学界を代表する研究者の一人です。国立歴史民俗博物館や総合研究大学院大学での教授職を経て、現在も國學院大學大学院客員教授として、後進の育成にも尽力されています。

広島県出身の新谷氏は、早稲田大学第一文学部史学科を卒業後、同大学大学院で学びました。1998年には慶應義塾大学より社会学博士号を取得。その後、山村女子短期大学助教授などを経て、国立歴史民俗博物館助教授、教授、総合研究大学院大学教授と要職を歴任。2010年に定年退官後も、國學院大學文学部教授を務め、2019年に同大学を定年退職されました。

幅広い研究テーマと豊富な著作

新谷氏の研究テーマは多岐に渡り、日本の伝統的な葬送儀礼や墓制、信仰、年中行事、神社、神道など、日本文化の様々な側面を民俗学の視点から深く掘り下げています。特に、死生観に関する研究は高く評価されており、数々の重要な著作を発表しています。

その著作数は膨大で、『生と死の民俗史』、『ケガレからカミへ』、『両墓制と他界観』、『日本人の葬儀』など、多くの単著に加え、『民俗学がわかる事典』、『民俗小事典 死と葬送』などの共編著も出版。これらの著作は、一般読者にも分かりやすく書かれており、民俗学への関心を高める役割を果たしています。

さらに、柳田國男や折口信夫といった民俗学の先駆者たちの研究を再検討し、現代的な視点から新たな解釈を加えるなど、民俗学の継承と発展にも貢献。その研究は、単なる学問にとどまらず、現代社会における日本人の生き方や文化を考える上で重要な示唆を与えてくれます。

代表的な著作

新谷氏の著作の中から、特に注目すべきものをいくつか紹介します。

『日本人の葬儀』: 日本の葬儀の変遷と文化的な意義を詳細に解説した、入門書として最適な一冊です。
『なぜ日本人は賽銭を投げるのか 民俗信仰を読み解く』: 賽銭という日常的な行為を通して、日本人の信仰や民俗を分かりやすく解説しています。
『伊勢神宮と出雲大社－「日本」と「天皇」の誕生』: 日本の国家成立と宗教、神話との関わりについて考察した、歴史と民俗学を融合させた意欲的な作品です。
『民俗学とは何か―柳田・折口・渋沢に学び直す』: 民俗学の古典的研究を再検討することで、民俗学の基礎と方法論を丁寧に解説しています。
* 『神社とは何か』: 神社の歴史、役割、そして現代社会における意義を多角的に考察し、神社の理解を深めるのに役立つ一冊です。

これらの著作以外にも、新谷氏は多くの論文や共著を発表しており、その研究活動は日本の民俗学の発展に大きく寄与しています。

新谷尚紀氏の功績

新谷尚紀氏の研究は、単に日本の民俗を記録・整理するだけでなく、現代社会における文化や伝統の意義を再考する上で重要な役割を担っています。氏の著作は、一般読者にも広く親しまれており、民俗学への理解を深める上で非常に有益です。これからも、日本の民俗学の第一人者として、さらなる活躍が期待されます。

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