旅路 (鉄道車両)

旅路（たびじ）について

「旅路」は、日本国有鉄道（国鉄）が1981年に改造した和式客車で、その独特なデザインと使い勝手の良さから、多くの人々に親しまれました。この車両は、1987年の国鉄分割民営化以降に西日本旅客鉄道（JR西日本）に引き継がれ、2007年まで使用されました。特に、広島地域において団体臨時列車としての役割を果たし、多くの旅行客に楽しい旅の思い出を提供しました。

概要

「旅路」は、国鉄広島鉄道管理局によって1981年に改造され、車内全体を畳敷きにしたことで、大変ユニークな仕様となっています。もともとは12系客車をベースにしており、両端の車両はスロフ12形800番台、中間にはオロ12形800番台が配置されています。これらの改造工事は幡生工場が担当し、同工場が手掛けた12系和式客車としては初の試みでした。

この車両の特徴的な点は、両端の車両に側扉が設けられ、車内にはアコーディアンカーテンによって仕切ることができる和室が備わっています。特に3号車には、カーペットで敷かれたサロン室と専用の車販準備室が設置されており、乗客に快適な空間を提供しています。また、各車両には更衣室や物置が設けられており、大型物置として利用するために1・3・5号車のトイレ設備は撤去されています。

色彩については、初めて改造された際には12系の標準色が採用されましたが、1987年に赤を基調とし、金色の帯が施されたデザインに変更されました。

編成

「旅路」の編成は以下のようになっています。

• - 1号車：スロフ12 809「はまゆう」定員44人
• - 2号車：オロ12 817「きんもくせい」定員46人
• - 3号車：オロ12 818「さくら」定員46人
• - 4号車：オロ12 819「さるびあ」定員46人
• - 5号車：オロ12 820「きょうちくとう」定員46人
• - 6号車：スロフ12 810「さつき」定員44人

リニューアル

「旅路」は当初、広島支社の団体臨時列車として運行されていましたが、時間の経過とともに設備の古さが目立つようになりました。このため、1994年に広島アジア大会を機にリニューアルが決定され、短期間での改造が進められました。吹田、鷹取、幡生の各工場で2両ずつ改造が行われ、両端車の編成も入れ替えられ、新たに展望室が設けられました。側窓は固定式に変更され、特に3号車はラウンジカーとして改装されました。

また、塗色は赤を基調に白帯が入るデザインに変わり、各車両の愛称も廃止され、シンプルに車両番号が表示されました。

沿革

「旅路」は以下の歴史を経てきました。

• - 1981年：運行開始。
• - 1987年：JR西日本に引き継がれ、塗装変更。
• - 1994年：リニューアル実施。
• - 2007年：廃車。

「旅路」は、そのユニークな設計、和文化の体現、そして多くの思い出を乗客に提供したことで、鉄道ファンはもちろんのこと、多くの旅行者たちにとって特別な存在であり続けました。

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