日向寺太郎

日向寺太郎（ひゅうがじ たろう）は、1965年宮城県仙台市に生まれた日本の映画監督です。彼は日本大学芸術学部映画学科を卒業後、黒木和雄、松川八洲雄、羽仁進といった著名な映画監督に師事し、映画制作の基礎を築きました。

1998年には、NHKの番組『黒木和雄 現代中国アートの旅』を手がけました。その後、2005年に『誰がために』で映画監督としてデビューしました。この作品は、少年犯罪とその遺族を真正面から描いたもので、新人監督ながらも人間の本質に迫る深いテーマ性が高く評価されました。主演の浅野忠信は、この作品で第60回毎日映画コンクール男優主演賞を受賞するなど、数々の賞を獲得しました。

2008年には、野坂昭如の小説を実写映画化した『火垂るの墓』が公開されました。この作品では、松坂慶子が毎日映画コンクール女優助演賞、松田聖子が日本映画批評家大賞審査員特別賞を受賞しました。この映画は、戦争という悲劇の中で生きる人々の姿を繊細に描き出し、多くの観客の心を打ちました。

2009年には、ドキュメンタリー映画『生きもの―金子兜太の世界―』を制作しました。この作品は、詩人金子兜太の生き様を捉えたもので、映文連アワード2010グランプリ、教育映像祭で文部科学大臣賞を受賞するなど、高い評価を得ています。

2013年には、北乃きい主演の『爆心 長崎の空』が第16回上海国際映画祭コンペティション部門にて上映されました。この作品は、長崎の原爆をテーマにしたもので、戦争の悲惨さと人間の強さを描いています。2014年には、画家野田弘志の創作過程を捉えたドキュメンタリー映画『魂のリアリズム 画家 野田弘志』が公開されました。この作品は、芸術家の内面に迫るドキュメンタリーとして注目されました。

2010年からは、日本大学芸術学部映画学科で非常勤講師も務め、後進の育成にも力を入れています。

日向寺監督の作品は、社会的なテーマを扱いながらも、人間の感情や心の動きを丁寧に描き出す点が特徴です。彼は、映画を通じて観客に問いかけ、深く考えさせるような作品を多く制作しています。

主な映画作品
誰がために（2005年）
火垂るの墓（2008年）
生きもの 金子兜太の世界（2010年）
爆心 長崎の空（2013年）
魂のリアリズム 画家 野田弘志（2014年）
こどもしょくどう（2018年）
安魂（2022年）

主なテレビ作品
黒木和雄 現代中国アートの旅（1998年）

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