日周運動

日周運動（にっしゅううんどう）

日周運動とは、地球が自転しているために、天球上の様々な天体が地球の周りを毎日規則的に回っているかのように見える現象です。これはあくまで見かけの運動であり、実際には地球の方が動いています。例えば、太陽が東から昇って西に沈むように見えるのも、星々が一晩のうちに位置を変えていくのも、すべて日周運動によるものです。

この運動の根本原因は、地球の自転そのものです。地球は約24時間（正確には1恒星日である23時間56分4.09秒）かけて地軸の周りを一回転することで、天体も同じ周期で動いて見えるのです。天体は、宇宙空間に固定された天球に貼り付いているかのように見え、その天球が、地球の自転軸を延長した「天の極」を結ぶ軸の周りを回転しているように観測されます。

これに対し、地球が太陽の周りを公転することで生じる天体の見かけの動きは年周運動と呼ばれ、日周運動とは区別されます。年周運動の周期は約1年です。

運動の方向

日周運動の方向は、観測する場所や見上げる空の方向によって異なります。

北半球から観測する場合:
南の空を見上げると、天体は概ね左（東）から右（西）へと動いていきます。
北の空を見上げると、天体は天の北極（こぐま座の北極星に近い方向）を中心に円を描くように動きます。天の北極より低い位置にある天体は西から東へ、高い位置にある天体は東から西へ動いて見えます。結果として、北天の星は天の北極の周りを反時計回りに回転しているように見えます。北極星は天の北極に近い非常にゆっくりとしか動きません。
南半球から観測する場合:
南半球では、北半球とは逆に、南の空の天体が天の南極を中心に時計回りに回転しているように見えます。東から西への動きという点では北半球と同じですが、左右の見え方は北半球と逆になります。
赤道上から観測する場合:
天の北極と天の南極が地平線上にあり、天体は地平線に対して垂直に近い軌道を描いて東から西へ動いているように見えます（天の極付近を除く）。
北極点から観測する場合:
頭上（天頂）に天の北極があり、全ての天体が天頂の周りを反時計回りに、ほぼ水平な円を描いて動いているように見えます。

運動の速さ

天体の日周運動の速さは一定ではなく、その天体の赤緯（天の赤道からの角度）によって異なります。天の赤道付近の天体が最も速く動き、天の極に近づくにつれて遅くなります。具体的な速さは、毎時約15度、毎分約15分角、毎秒約15秒角となります。

この速さを他の尺度と比較すると、天体はおよそ:

約2分間で太陽または月の視直径1個分動きます。
約4秒間で最も大きい惑星の視直径1個分動きます。
約1秒間で最も大きい恒星の視直径2,000個分動きます。

観測と利用

日周運動は、例えばカメラを固定して夜空を長時間撮影する際に、星の光跡として観察できます。天の極に近い星ほど小さな円を描き、極から離れるほど大きな円や曲線を描きます。

天体写真の撮影などで星の日周運動を打ち消し、星を点像として捉えるためには、赤道儀と呼ばれる架台を使用するのが一般的です。赤道儀は天体の見かけの動きに合わせて望遠鏡を自動的に動かす（恒星時追尾）機能を持ち、長時間の露出でもブレのない写真を得ることができます。

日周運動の理解は、天体観測や位置天文学の基礎となります。

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