日曜市

高知市追手筋で開催される街路市「日曜市（にちよういち）」は、300年以上の長い歴史を持つ伝統的な市です。

概要

毎週日曜日に開かれるこの市は、年始とよさこい祭り期間（例年8月10日から12日）を除き開催されます。おおむね午前6時頃から午後3時頃まで、高知城のお膝元である追手筋の全長約1キロメートルにわたって、およそ300もの店舗が軒を連ねます。並ぶ商品は非常に多岐にわたり、地元の農家から届けられる新鮮な野菜や果物、乾物、郷土料理である寿司、日常生活に必要な金物や熟練の技が光る打ち刃物、そして美しい植木まで、様々な品物が並びます。1日に約17,000人もの人々が訪れるこの市は、観光客だけでなく、地元の生活に深く根ざした「生活市」として親しまれています。

歴史

日曜市の正確な起源をたどることは容易ではありません。しかし、一説によると、江戸時代の元禄3年（1689年）に制定された藩法「元禄大定目」の中に街路市に関する規定が見られることから、その歴史は少なくとも3世紀以上に及ぶと考えられています。

ただし、開設当初は現在のように「日曜日」に固定されていたわけではなく、特定の日取りに行われる「日切市」として、蓮池町や朝倉町など複数の場所で開催されていました。現在の「日曜日」開催という形式が確立したのは、明治時代（1886年、明治9年）になってからのことです。これは、当時の官庁が太陽暦を採用し、日曜休日や土曜半休が導入されたことに伴う変化でした。この時期に、それまでの日切市は曜日制に移行し、同時に蓮池町や朝倉町での開催が終了し、本町での開催となりました。

明治以降、現在の形に近づいた日曜市ですが、明治34年（1901年）頃には再び移転の議論が持ち上がります。この問題の直接的な契機となったのは、本町を通る道路に土佐電気鉄道が電車軌道を敷設する許可を得たことでした。

新たな移転先として浮上したのが帯屋町です。当時の帯屋町は、現在のような高知市を代表する商店街ではなく、特に北側には病院が多く、商店はまだ南側に集中しており発展途上の段階でした。幅員は現在と同じ11メートルでしたが、人通りはまばらで、とても商店街と呼べる状況ではなかったと言われています。

こうした状況の中、集客力のある日曜市を誘致したい帯屋町側と、移転先を探す日曜市側の思惑が見事に一致しました。この結果、明治37年（1904年）には帯屋町での開催が決定し、これは当時の土陽新聞に帯屋町市場開設の広告が掲載されたことで公になりました。この移転は帯屋町にとって非常に大きな成功をもたらし、誘致した商店の売上は飛躍的に向上しました。日曜日の売上が、他の6日間の合計とほぼ同等になるほどだったと伝えられています。

帯屋町は次第に商店数を増やし、その規模を拡大していきました。大正時代末期には娯楽施設も加わり、さらに賑わいを増します。第二次世界大戦による戦災で帯屋町は焼け野原となりますが、戦後の復興を経て、昭和21年（1946年）頃から、日曜市は帯屋町から一つ北側の通りである追手筋へと徐々に移動し始めました。そして、その2年後の昭和23年（1948年）には、現在の開催場所である追手筋に完全に定着しました。

その後、昭和35年（1960年）頃にも市の一部関係者から、交通渋滞などを理由とした移転や廃止を求める動きがありましたが、街路市の存続を強く支持する人々による熱心な働きかけや運動によって、こうした動きは白紙に戻されました。

今日に至るまで、日曜市は追手筋で開催され続け、高知の人々の暮らしに欠かせない存在として、その活気ある賑わいを保っています。

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