日本うつ病学会

日本うつ病学会

日本うつ病学会（にほんうつびょうがっかい、英語名: Japanese Society of Mood Disorders、略称: JSMD）は、うつ病や双極性障害を含む気分障害に関心を持つ医療専門家や研究者によって組織された学術団体です。うつ病に対する社会的な関心が高まり、その臨床的な対応の重要性が認識される中で、専門家が集まり研究成果を共有し、臨床実践の質を高めること、さらに広く一般市民に対してうつ病に関する正確で適切な情報を提供することを目指して、2004年に設立されました。

本学会の設立に先立つ2003年には、製薬企業であるグラクソ・スミスクライン社の支援を受けて「うつ病アカデミー」という研究会が立ち上げられており、これが学会の前身となりました。

学会の事務局は、〒102-0075 東京都千代田区三番町2 三番町KSビル内、株式会社コンベンションリンケージに設置されています。

組織と会員

日本うつ病学会は、特定の法人格を持たない任意団体として活動しています。日本の医学分野を代表する学会の連合体である日本医学会には加盟していません。

会員は、うつ病研究や臨床に携わる医療従事者を中心に構成されており、その数は現在約1500名に上ります。会員種別に応じた年会費が定められており、学会の運営費用に充てられています。入会に際しては、入会金は不要です。年会費は正会員が7,000円、理事・評議員は8,000円、学会の活動を支援する賛助会員は1口あたり50,000円（1口以上）となっています。

主な活動内容

本学会は、設立目的に沿って多岐にわたる事業を展開しています。主要な活動としては、年次総会および学術集会の開催があります。これは、会員が最新の研究成果を発表し、情報や意見を交換する重要な機会であり、うつ病研究の進展と臨床技術の向上に貢献しています。

また、一般市民を対象とした講演会や公開シンポジウムを定期的に開催しており、うつ病に関する正しい知識の普及や、病気への理解促進を図る社会貢献活動にも力を入れています。これにより、うつ病に対する偏見を減らし、早期発見や適切な治療へのアクセスを促すことを目指しています。

学会の活動成果や最新情報の発信ツールとして、機関誌「日本うつ病学会NEWS」を年に1回発行しています。約1300部が発行され、会員への情報共有に役立てられています。

抗うつ薬の適正使用に関する委員会

特に注目すべき活動として、2009年に設立された「抗うつ薬の適正使用に関する委員会」があります。この委員会は、当時の厚生労働省からの要請を受けて設置されました。抗うつ薬の使用を巡る様々な問題、特に副作用への対応や適切な処方・服薬指導などについて、専門家の立場から深く検討を行い、より安全で効果的な抗うつ薬の使用法に関する提言を取りまとめることを目的としています。この活動は、うつ病治療における薬物療法の信頼性を高め、患者さんの利益を守る上で重要な役割を果たしています。

学術奨励制度

うつ病研究の振興と若手研究者の育成にも注力しており、学術的な功績を称えるための賞を設けています。具体的には、優れた研究や発表を行った会員に授与される「日本うつ病学会学会奨励賞」と、「下田光造賞」があります。これらの賞は、将来のうつ病研究を担う人材を励まし、分野全体のレベルアップに寄与しています。

関連情報

本学会は、国内外の関連団体とも連携しています。例えば、国際双極性障害学会（ISBD）などとの交流を通じて、国際的な視点からの研究や知見の交換を行っています。また、うつ病や抗うつ薬といったテーマは、本学会の主要な関心事であり、関連する学術分野や臨床現場との連携も密に行われています。日本の科学技術振興機構が運営するサイエンスポータルSciencePortalも、学会に関連する情報源の一つと言えるでしょう。

（本記事は公開情報に基づいて記述されており、歴代理事長などの詳細情報は割愛しています。）

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