日本おもちゃ大賞

日本おもちゃ大賞（にほんおもちゃたいしょう）

日本おもちゃ大賞は、2008年に一般社団法人日本玩具協会によって設立された、日本の優れた玩具に贈られる権威ある賞です。その主な目的は、品質が高く、かつ市場性を持った玩具の開発を奨励し、玩具メーカー間の健全な競争を通じて業界全体の感性を高めることにあります。これにより、日本の玩具市場のさらなる活性化を図っています。

概要

本大賞は、玩具業界全体の発展を視野に入れ、毎年開催されます。選考は一般社団法人日本玩具協会が主催し、春先に作品の募集が行われます。例年、夏に開催される東京おもちゃショーの会期中に、記者発表会にて各部門の受賞作品が発表され、授賞式が執り行われます。選ばれた玩具は、東京おもちゃショーの会場内で一般に展示・公開されます。本賞は応募制であり、応募資格は、当該年度の東京おもちゃショーに出展する企業であること、対象となる玩具が既に市場に出ているか、あるいは同年9月末日までに発売予定であること（過去に本大賞に応募した商品は不可）、STマーク対象品は合格しているか、または取得手続き中であること、そして第三者の知的財産権を使用している場合は適法な許諾を得ていること、といった複数の条件を満たす必要があります。

各部門の大賞受賞者には盾と表彰状に加え、副賞として賞金が贈られます。また、各部門で4商品選ばれる優秀賞受賞者には表彰状が授与されます。全ての受賞商品は、商品パッケージやプロモーション資材に「受賞マーク」を掲載することが許諾されます。

審査

審査は、その年の玩具業界を代表するにふさわしい作品を選び出すことを主眼とし、多角的な視点から3段階にわたって厳正に行われます。

全部門共通の審査基準として、客観性を保つために以下の5項目がそれぞれ1点から5点で評価されます。

市場性、話題性、発信力: その年の玩具業界を牽引する可能性を秘めているか。
オリジナリティ、新規性: 企画、仕様、素材などに独自の工夫や斬新さが見られるか。
プレイバリュー: 決まった遊び方だけでなく、子供自身が遊びを発展させ、広げていける要素があるか。
デザイン: 見た目の魅力や新しさに加え、使う人が分かりやすい、配慮された工夫があるか。
プレゼンテーション（第3次審査のみ）: 商品の特長を分かりやすく伝える能力があるか。

第1次審査

玩具業界の専門家である見本市委員や流通関係者から選ばれたおもちゃ大賞小委員会が、プロの視点で審査を行います。各部門の着眼点を考慮しながら、全応募作品を実際に手に取り、動かしながら2日間かけて評価します。共通基準による数値化を経て、各部門から約10商品に絞り込まれます。

第2次審査

日本玩具協会の理事役員と見本市委員が担当します。本大賞の設立目的に立ち返り、選出された作品を改めて吟味します。すべての対象商品を手に取って審査し、各部門5商品まで絞り込みます。この段階で、選出された理由が具体的に整理され、出品者に通知されるとともに、第3次審査に向けた選出理由が開示されます。

第3次審査

百貨店、専門店、GMS、家電量販店といった小売業や流通、玩具業界誌、メディア、研究機関など、幅広い分野の審査委員が、消費者の視点や売場での評価を考慮して審査を行います。現品の確認に加え、出品者による2分間のプレゼンテーションも行われます。各部門ごとの着眼点と共通基準に基づいて評価が数値化され、ここで最終的に各部門の大賞1商品と優秀賞4商品が決定されます。2014年からは、審査の模様がメディアにも公開されるようになりました。

部門構成

創設当初は5部門でしたが、2010年からは主要7部門と特別賞で構成されるようになりました。主要部門は、主に新発売や発売予定の玩具を対象としています。1社からの応募数に制限はありませんが、1つの商品が複数の部門の要件を満たす場合は、原則として2部門まで応募可能です。ただし、共遊玩具部門を含む場合は、その趣旨を考慮し、最大3部門まで応募が認められています。

これまでに設けられた主な部門は以下の通りです。

共遊玩具部門: 障害の有無にかかわらず、すべての子供が共に楽しめるよう工夫された玩具を対象とします。設立当初から継続している部門です。
エデュケーショナル・トイ部門: 子供の知育や教育に貢献する、いわゆる知育玩具が対象です。
コミュニケーション・トイ部門: 世代や性別を超えて楽しめる、娯楽性の高い玩具が対象です。遊びを発展させる要素や、交流や癒やしを提供する工夫が評価されます。2014年に新設されました。
ハイターゲット・トイ部門: 子供だけでなく、大人も楽しめる幅広い層向けの玩具が対象です。設立当初から継続しています。
ヒットセールス賞: 過去1年間に特に高い販売実績を上げ、市場に貢献した玩具に贈られます。流通や小売を含む業界全体の活性化を目指す趣旨で2012年に新設されました。
アクション・トイ部門: のりもの、バトルホビーなど、体を動かしたり、アクティブに遊ぶことを目的とした玩具が対象です。2022年に新設されました。
特別賞: 上記部門の枠を超え、特に玩具業界全体への貢献が顕著な作品などが対象となります。シリーズ全体としての功績に対して贈られることも多く、毎年必ず選出されるとは限りません。

この他にも、時代のトレンドを捉えた「トレンディ・トイ部門」（2009年終了）、普遍的な魅力を持つ「ベーシック・トイ部門」（2009年終了、2021年再開）、男子向け・女子向けの「ボーイズ・トイ部門」「ガールズ・トイ部門」（2010-2019年実施、その後キャラクター・トイ部門やベーシック・トイ部門に統合）、キャラクターを扱った「キャラクター・トイ部門」（2010年追加、2013年終了、2021年再開）、新しい技術やアイデアを盛り込んだ「ネクスト・トイ部門」（名称変更を経て2021年まで実施、その後イノベイティブ特別賞などに移行）など、時代の変化に応じて部門構成が見直されています。

過去には、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、東京おもちゃショーが中止となった2020年には大賞の発表が見送られましたが、翌2021年には同様にショーが中止されたものの、大賞は発表されるといった対応も取られています。

日本おもちゃ大賞は、優れた玩具とその作り手を広く紹介し、日本の玩具文化の発展に貢献し続けています。
玩具選びの参考となる指標としても注目されています。

もう一度検索