日本の鉄道開業

日本の鉄道開業の歴史

1872年10月14日、明治5年9月12日、初の鉄道路線である新橋駅（後の汐留駅）から横浜駅（現在の桜木町駅）までの区間が正式に開業しました。この出来事は、日本が近代交通手段へと移行するための重要な一歩となりました。

鉄道に対する日本人の興味の始まり

日本における鉄道の概念は、1825年にイギリスで最初の蒸気機関車が運行されて以来、徐々に広まっていきました。日本が鉄道の存在を知るようになったのは1840年代であり、その後、様々な形で日本人が鉄道に触れる機会が増えていきました。ジョン万次郎（中浜万次郎）は1845年にアメリカで蒸気機関車に乗ったことで知られています。また、1853年にはロシアのプチャーチンが日本に蒸気機関車の模型を持ち込むなど、鉄道技術に対する関心が高まりました。

鉄道敷設計画の発案

幕末には、既に薩摩藩や佐賀藩、江戸幕府において鉄道敷設の計画が存在しました。しかし、具体的な動きが進んだのは明治維新後のことでした。政府は近代化の象徴として鉄道の建設を選択し、内陸部の交通効率化を図ることが必要でした。このため、1869年には新たに東京と横浜を結ぶ約29kmの路線建設が決定されました。

線路敷設と工事の進行

鉄道敷設は1870年に始まり、工事は困難を伴いました。日本の土木技術が活かされつつも、初期工事の多くは外国技術者の指導を受けながら進められました。また、資材の輸入や現地での供給が考慮され、枕木などの素材選定も国産品が採用されることになりました。特に、海岸沿いを通る路線では、多くの木製の橋が用意されました。

開業までの道のり

開業前には様々な準備が進められ、1872年6月に行われた試運転を経て、10月には正式な開業式が執り行われました。開業日は悪天候のため延期されたものの、ついに新橋・横浜間がつながり、乗客を運ぶ運行が始まったのです。

開業時の反響

1872年の開業時、列車は上下9往復運行され、全線の所要時間は53分でした。当時の運賃設定は高額だったものの、新交通手段への期待が高まる中で、徐々に乗客を惹きつけることになりました。開業初年度の乗客数は平均4347人を数え、年間の旅客収入は42万円という成績でした。

鉄道の発展

開業以降も鉄道は急速に発展し、国民の交通手段として定着していきました。進化した技術や運行体制の整備が進み、鉄道網は全国へと広がっていくことになります。それに伴い、鉄道の開業記念日もさまざまな形で祝われ、鉄道の日として広く認知されるようになりました。

鉄道の開業は、ただの交通手段の実現にとどまらず、日本の経済や文化、さらには人々の生活様式にまで深い影響を及ぼしました。馬車や船に代わる新しい移動手段として、鉄道は日本の近代化と発展の重要な要素となったのです。

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