日本の面影

テレビドラマ『日本の面影』について

『日本の面影』（にほんのおもかげ）は、1984年3月3日から3月24日までNHK総合テレビで放送されたテレビドラマです。本作は脚本家の山田太一によって書かれ、主人公には小泉八雲（ラフカディオ・ハーン）の生涯が選ばれ、明治時代の日本が舞台として描かれました。この作品はその後、舞台劇にも脚色され、1993年に初演され、さらに2012年にも「朗読座」で上演されました。

製作の背景

山田太一は、ハーンの生涯をドラマ化することを以前から構想していましたが、そのアイデアに興味を示す制作者が現れませんでした。NHKから近代日本のエネルギーに関連する家庭をテーマとするドラマの企画依頼があった際に、それに同意できなかった山田は、ハーンを題材とする企画を提案し、ようやく実現に至ります。ハーン役のキャスティングでは、当初ダスティン・ホフマンの名前が挙がりましたが、制作費が膨れ上がるという理由で却下されました。最終的にオーディションを経て、ギリシャ系のジョージ・チャキリスが選ばれました。

作品の特徴

本ドラマでは、多くの日本人キャラクターが出身地の方言で会話しており、その方言は観る者にリアリティを提供しています。ハーンのセリフは、日本語の部分がカタカナで、英語の部分は日本語に翻訳されて表現されています。また、ハーンの著作から取られた作品『怪談』『骨董』のエピソードが劇中に登場し、ことに『雪女』や『耳なし芳一』では、想像の中でハーンが感じる情景が変化する演出がなされています。

ストーリー概要

第1回 ニューオーリンズにて

1984年3月3日に放送された第1話では、1884年の万国博覧会が舞台になります。ラフカディオ・ハーンは地元新聞の記者として幽霊や迷信に関心を示しますが、上司にはその思いを理解されません。日本に派遣された服部一三と西村重成との出会いによって、日本に興味を深めていくことになります。

第2回 神々の国の首都

続く第2話では、ハーンが日本に来日し、松江中学校の英語教師に就任する様子が描かれます。彼の日本文化への興味が高まり、地元の人々との交流が生まれます。

第3回 夜光るもの

第3話では、ハーンがセツという女性と親密になる一方で、周囲の偏見や苦悩が描かれます。セツとの結婚を決意する Hーンですが、それに伴う社会的な試練も描かれます。

第4回 生と死の断章

最終話は、結婚生活から生まれた子どもと共に過ごすハーンの姿が中心になりますが、彼が近代日本に幻滅を感じる様子と、その後の帰化決意が語られます。最終的にはハーンの死と、その後の家族の姿を通して物語は締めくくられます。

登場人物

• - ラフカディオ・ハーン: 本作の主人公で、家族への渇望を持つ。
• - 小泉セツ: ハーンの家政婦であり、のちに妻となる。
• - 服部一三: 日本政府の使者で、ハーンに影響を与える。
• - 西田千太郎: ハーンの友人であり、支援者。

受賞歴と評価

本作は、第17回テレビ大賞優秀番組賞や第2回向田邦子賞を受賞し、多くの視聴者から高く評価されました。脚本の山田太一は、深い人間描写と日本文化への理解を巧みに表現し、多くの人々に感動を与えました。

まとめ

『日本の面影』は、ラフカディオ・ハーンを通じて明治時代の日本の文化や人々の心の中を描いた作品であり、歴史を超えて今なお多くの視聴者に愛されています。その深い物語と美しい表現は、観る者の心に残るものです。

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