日本の音楽展

日本の音楽展

日本の音楽展（にっぽんのおんがくてん）は、日本の優れた音楽を広く一般に紹介し、その普及を目指して毎年開催されている連続演奏会です。これは、指揮者である熊谷弘氏の提唱によって1979年に開始されました。

この演奏会の大きな特徴の一つは、出演する演奏家自身が演奏する作品を選定するという点にあります。これにより、多様な視点から選ばれたプログラムが実現し、毎年延べ70名ほどの演奏家たちが個性豊かな演奏を繰り広げています。

歴史と歩み

「日本の音楽展」の第一歩は、1979年1月29日に東京の青山タワーホールで記されました。この記念すべき初日には9名の演奏家が参加し、主宰者である熊谷弘氏が自らプログラム構成を手掛けました。以来、本演奏会は一度も中断することなく毎年開催され続けています。

開催形式も発展を遂げました。開始から5年目にあたる1983年からは五夜連続での開催となり、さらに1997年1月からは六夜連続へと規模を拡大しています。これらの継続的な活動とその実績が認められ、10周年を迎えた1988年には、第6回中島健蔵音楽賞を受賞するという栄誉に輝いています。

関連事業：作曲賞とスイホー賞

活動20周年を迎えた1997年には、新たな記念事業として「日本の音楽展・作曲賞」が設立されました。これは、日本の作曲界における新しい才能の発掘と作品の紹介を目的としており、第1回から作品募集が行われました。この賞の選考委員には、佐藤敏直、廣瀬量平、松村禎三、三善晃といった、当時の日本の現代音楽界を代表する作曲家たちが名を連ねました。以来、毎年作品の公募が続けられており、2008年1月までに20作品が受賞を果たし、そのうち11作品が実際に「日本の音楽展」のコンサートで演奏される機会を得ています。この賞は、若手作曲家にとって貴重な発表の場を提供し、新しい作品が聴衆に届けられる機会を創出してきました。

また、2001年には、ズイホー産業株式会社の元代表取締役会長であった小島五夫氏からの篤志による寄付に基づき、「日本の音楽展・スイホー賞」が設立されました。この賞は、小島氏がご逝去される2006年までの間続けられ、「日本の音楽展」の運営や発展に顕著な貢献をした演奏家に対して、特別功労賞や特別奨励賞などが授与されました。これにより、演奏家の活動を支援し、音楽展全体の質の向上に寄与しました。

活動の規模と成果

2012年現在までの活動実績を見ると、「日本の音楽展」が日本の音楽シーンにおいて果たしてきた役割の大きさがわかります。この年までに開催されたコンサートは、東京以外の福岡（筑後）や横浜での公演を含めると、延べ180回を超える回数に達しました。この長い歴史の中で、舞台に立った演奏家は延べ2000名以上にのぼります。そして、演奏されてきた作品数は、450名を超える作曲家による3000曲以上にも及びます。これらの数字は、いかに多くの音楽家と作品がこの演奏会を通じて紹介されてきたかを示しています。

さらに重要な点として、「日本の音楽展」では数多くの新作が初めて演奏されています。これは、日本の現代音楽の創造と普及において、この演奏会が果たしてきた役割が非常に大きいことを物語っています。演奏家自身による選曲、継続的な開催、そして作曲賞やスイホー賞といった関連事業を通じて、「日本の音楽展」は日本の音楽文化の振興に多大な貢献を続けていると言えるでしょう。

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