日本カタン糸

日本カタン糸株式会社の歴史

日本カタン糸株式会社は、日本において重要な役割を果たした紡績・製糸会社の一つです。この会社は、複数の関連会社や歴史的背景を持っており、その活動は明治時代から昭和にかけて展開されました。

沿革の概要

日本カタン糸株式会社の起源は、1895年2月に大阪の八尾で設立された「日本カタン糸」に遡ります。当初の資本金は8万円で、大阪、京都、東京に販売所を設立し、1897年には第2工場が完成しました。しかし、日清戦争後の不況に直面し、1898年7月には経営破綻し、同社は売却されることとなりました。

その後、大阪カタン糸合資会社と名称を改め、村井吉兵衛が買収しました。改名された村井カタン糸は、1907年にイギリスのJ. & P. コーツが主要株主となり、「帝国製糸」として新たなスタートを切ります。この時期、「日の出印」の糸を製造し、業界内での地位を確立しました。

戦時下の活動と消滅

帝国製糸は、第二次世界大戦中の1943年に富士紡績に新株を売却され、敵性資産として消滅しました。しかし、敗戦後の1950年7月31日にはポツダム命令に基づき、J. & P. コーツに返還され、再度「帝国製糸」として事業を再開することができました。

日本カタン糸の新たな展開

1917年には、帝国製糸から富永松男と波多野喜一が中心となり、大阪繊維での活動が開始され、「ラクダ印」のカタン糸を製造・販売し始めました。第一次世界大戦後の経済不況に苦しんだ日本カタン糸は、田附商店の支援を受け、1920年12月に再建されました。1922年には、滋賀県能登川に本格的な工場を設立し、「鰐印」のカタン糸を製造しましたが、1929年の経済危機により再び破綻しました。

その後、綿糸加工部門は田附商店と帝国製糸に譲渡され、残った紡績と撚糸部門は「湖東紡績」と名称を改めました。これにより、日本カタン糸の名は一時消えることとなりました。

新しい日本カタン糸の設立

1929年、帝国製糸は田附商店とともに日本カタン糸の加工部門を買収し、新たに日本カタン糸株式会社を設立しました。この新会社は、資本金100万円で帝国製糸が60%、田附商店が40%の出資比率を持ちました。日本カタン糸は「鰐印」や「星鰐印」のカタン糸の製造を帝国製糸に委託し、元の能登川工場の設備も八尾工場に移されました。

第二次世界大戦後、敵性資産としての凍結状態が続きましたが、1951年にはGHQの指導の下で再設立されました。政府の命令により、株主の配分が見直され、独占禁止法も適用されることとなりました。このように、日本カタン糸は様々な波乱を経て、その歴史を刻んできました。

日本カタン糸株式会社は、歴史的背景を持ちながら、業界の中でさまざまな形で運営されてきた会社であり、その名は紡績業界の重要な一部として記憶されています。

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