日本・オーストラリア経済連携協定

日本・オーストラリア経済連携協定 (JAEPA)

日本とオーストラリアの間に結ばれた経済連携協定（EPA）は、両国の自由貿易を推進する枠組みとして、2015年1月に効力を発生しました。この協定は、一般的に日豪EPAと呼ばれ、経済産業省や外務省によって自由貿易協定として位置付けられています。協定の交渉は2007年に始まり、2014年に調印されました。

署名・発効までの経緯

経済連携協定の交渉は、2003年に始まりました。オーストラリアのハワード首相が日本を訪問した際に、日・オーストラリア貿易経済枠組みが署名され、双方の貿易や投資の自由化のために協力することで合意しました。この初期の研究の結果を受けて、2005年には経済連携協定の実現可能性を探るための新たな共同研究が開始されました。

その後も多数の協議が重ねられ、両国政府は2014年4月に大筋合意を形成しました。2014年7月には正式に調印が行われ、国内での手続きが経て、2015年に発効を迎えるに至ります。この協定の署名および発効を通じて、オーストラリアは日本と締結した二国間EPAの中で最大の貿易相手国として位置付けられています。

協定の内容と特徴

日豪EPAは、物品の関税撤廃だけでなく、投資や知的財産権の保護に関する共通のルールも規定された包括的な内容です。協定発効後、95%の貿易額に相当する関税を10年間で段階的に撤廃し、最終的に日本の輸出額の99.8%、オーストラリアの輸入額の93.7%を無税化することを目指しています。

日本からの輸出関連

日本からの輸出品においては、農林水産品、エアコン、テレビなどの鉱工業品が即時に関税撤廃されました。また、自動車の完成車に関しては約75%が即時関税撤廃となり、残りの完成車も発効から3年後には撤廃される予定です。先進的なエコ技術を取り入れた製品へのアクセスが容易になり、これにより日本企業にとっては競争力が向上します。

日本への輸出関連

オーストラリアから日本に輸出される鉱工業品もほぼ全ての品目が対象となっており、特に牛肉、乳製品に関しては段階的な関税削減が行われますが、米や小麦は厳しい関税が維持されるなど、日本の消費者にとっての影響が考慮されています。

経済的なメリットとデメリット

日豪EPAの締結による経済効果は6500億円に相当すると見込まれています。特に日本企業がオーストラリア市場で優位に立つことが期待され、中でも自動車産業には大きな恩恵がもたらされるでしょう。しかし、一方で日本の農業、特に北海道の農業・酪農業には影響が懸念されています。農産物の関税撤廃は、地域経済に大きな打撃を与える可能性があり、具体的には約1兆3700億円の経済損失が予測されています。

TPPとの関連

日豪EPAは、当時進行中だった環太平洋パートナーシップ協定（TPP）の交渉にも影響を与えたとされます。特に、TPP交渉の圧力を強める一因ともなったのです。結局、TPPは米国の離脱により実現には至らなかったものの、日豪EPAはその後のCPTPPの基盤となりました。

結論

日本・オーストラリア経済連携協定は、両国間の経済関係を深化させる重要な枠組みです。貿易、投資、人的交流など多岐に渡る面での関係強化が期待されますが、一方で影響を受ける産業もあるため、双方が持続可能な形での発展を目指すことが求められています。

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