日本・ASEAN包括的経済連携協定

日本・ASEAN包括的経済連携協定

日本・ASEAN包括的経済連携協定（AJCEP）は、2008年に日本とASEAN（東南アジア諸国連合）加盟国の間で締結された歴史的な経済連携協定です。この協定は、日本にとって初の地域連合との経済連携協定であり、日本国内での締結は国会承認を経て正式な法令として扱われています。

経済的な意義

日本の経済産業省によると、この協定によって日本のGDPはおよそ1.1兆～2兆円増加し、15万～26万人の雇用が生まれると予測されています。これにより、日本とASEAN諸国との経済的な結びつきが一層強化されることが期待されています。

協定の背景

日本は、2002年に「日本・シンガポール新時代経済連携協定」を締結してから、次々と二国間での経済連携協定を結んできました。本協定は、さまざまな文化や政治体制を持つASEAN諸国との間での初めての多国間経済連携という位置づけになるため、その意義は非常に大きいとされています。アジア地域特有の背景を考慮した、この協定は経済を中心にした緩やかな統合を図るための基礎となります。

協定の内容

この協定では、以下のような分野での協力が規定されています：

• - 物品貿易の自由化・円滑化
• - 知的財産に関する協力
• - 農林水産業における協力

また、今後の協議が予定されている分野には、サービス貿易の自由化や投資の保護が含まれています。

協定の署名と承認

協定の起源は、2002年の小泉首相のASEAN諸国訪問における提案にさかのぼります。その後、何度にもわたる交渉を経て、2008年12月1日に協定は発効されました。この日から、日本と複数のASEAN加盟国との間で、経済的な連携が本格的に始まったのです。

発効国と日程

協定は、以下の国々で次のように発効しました：

• - ベトナム：2008年12月1日
• - シンガポール：2008年12月1日
• - ミャンマー：2008年12月1日
• - ブルネイ：2009年1月1日
• - マレーシア：2009年2月1日
• - タイ：2009年6月1日
• - カンボジア：2009年12月1日
• - インドネシア：2010年3月1日
• - フィリピン：2010年7月1日

なお、インドネシアに関しては、国内手続きの遅れが生じたため、特別に施行日が設定されました。

今後の展望

協定の投資とサービスに関する交渉は、2010年から開始され、その後2015年にサービス分野、2016年に投資分野の合意が成立しました。これらの改正内容は、2019年から2022年にかけて順次発効され、最終的にすべてのASEAN加盟国において効力を持つこととなりました。

結論

日本・ASEAN包括的経済連携協定は、アジア地域における日本の経済的立場を強化し、地域協力の新たな展望を広げる重要なものであることが明らかです。今後、この協定を通じて、さらに多くの経済的利益がもたらされることが期待されます。

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