日本一鑑

日本一鑑（にほんいっかん）

『日本一鑑』は、明の鄭舜功によって編纂された、戦国時代の日本に関する研究書です。全3部16巻からなるこの書は、当時の日本を総合的に捉えた百科全書として重要な価値を持っています。

概要

『日本一鑑』は、以下の3部構成となっています。

窮河話海（きゅうがわかい）: 全9巻。日本の歴史、人物、風習などについて記述されています。
桴海図経（ふかいずきょう）: 全3巻。日本の地理と地図に関する情報がまとめられています。
[阝絶]島新編（ぜっとうしんぺん）: 全4巻。日本の地理に関する記述が含まれています。

鄭舜功は日本で収集した資料を詳細に分析し、実地調査も行った上で本書を編纂しました。そのため、前近代において中国人が行った日本研究としては、非常に高い水準に達していると評価されています。

また、付録として「寄語」という記事があり、日本語の語彙約4,300語に中国語による音訳が付されています。これは、キリスト教宣教師による文献と並び、中世日本語の実態を知る上で貴重な資料となっています。

編者：鄭舜功（ていしゅんこう）

鄭舜功は、嘉靖34年（1556年）に倭寇の禁圧と日本の実情調査を目的として来日しました。しかし、途中で大友氏によって豊後国に幽閉されてしまいます。幽閉中も日本の実情調査を続け、帰国後には政変に巻き込まれて配流されました。

赦免後、日本での経験や実情、倭寇対策などをまとめたのが、この『日本一鑑』です。

参考文献

木村晟「「日本一鑑」の名彙」『駒沢国文』第13巻、駒澤大学文学部国文学研究室、1976年2月、71-99頁
近藤良一「「日本一鑑」名彙の注釈的研究」『駒沢大学北海道教養部研究紀要』第33巻、駒澤大学北海道教養部、1998年3月、1-23頁
片山晴賢「「日本一鑑」の基礎的研究 其之一」『駒澤短期大学研究紀要』第24号、駒澤短期大学、1996年3月、63-78頁
* 片山晴賢「「日本一鑑」の基礎的研究 其之二 - 名彙「器用」について」『駒澤短期大学研究紀要』第25号、駒澤短期大学、1997年3月、79-104頁

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