日本児童青年精神医学会

一般社団法人日本児童青年精神医学会

一般社団法人日本児童青年精神医学会（JSCAP、英名: The Japanese Society for Child and Adolescent Psychiatry）は、児童青年期の精神医学およびその関連分野の研究推進と発展を目指す主要な学術団体です。1958年に日本精神神経学会内の児童精神医学懇話会として始まり、1960年に独立した学会として創立されました。その後、2013年4月に一般社団法人へと移行し、活動基盤を一層強化しています。

本学会は、国内外の学術ネットワークにおいて重要な位置を占めています。日本学術会議の協力学術研究団体であり、International Association for Child and Adolescent Psychiatry and Allied Professions（IACAPAP）の正式な会員組織として、国際的な学術交流に貢献しています。また、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会の承認学術団体であり、子どものこころ専門医機構の設立にも関わるなど、関連分野との連携も密接です。特にアジア地域においては、1996年にアジア児童青年精神医学会（ASCAPAP）を創設し、その後の会議開催を主導するなど、この分野における日本の中心的な役割を果たしています。

学会の主な事業活動は多岐にわたり、学術研究の発表機会の提供、専門知識の普及、委員会活動を通じた提言、専門家の育成・認定などを含みます。

学術総会: 年に一度、全国規模の学術総会を開催しています。ここでは、最新の研究成果の発表、症例検討、教育講演、シンポジウムなどが行われ、子どもの心の健康に関わる様々なテーマが深く掘り下げられます。また、全国各地に地方会や関連研究会があり、地域に根ざした学術活動も活発に行われています。
機関誌: 学術機関誌として「児童青年精神医学とその近接領域」（Japanese Journal of Child and Adolescent Psychiatry）を年5回発行しています。日英混載のこの専門誌は、J-Stageを通じてオンラインで閲覧可能です。
委員会活動: 組織運営に関わる事務局や編集委員会に加え、子どもの人権、福祉、教育、倫理、医療経済、災害対策、国際交流、薬事、心理職との連携、専門医制度、生涯教育など、幅広いテーマを扱う専門委員会が活動しており、各分野の発展に寄与しています。
学会奨励賞: 児童青年精神医学領域における優れた業績を称えるため、複数の奨励賞を設けています。具体的には、学会誌論文を対象とする優秀論文賞、国内外の学術誌論文を対象とする研究奨励賞、優れた実践活動を表彰する実践奨励賞、国際学会での発表を奨励する国際学会発表奨励賞などがあります。これらは所定の手続きを経て選考されます。学術総会では、ポスター発表に対する表彰も行われます。
認定医制度: 高度な専門知識と臨床能力を持つ医師を育成・認定するため、学会独自の認定医制度を運用しています。2024年4月時点で560名が認定されています。認定医となるには、一定期間（一般精神科2年以上、児童青年精神科3年以上を含む計5年以上）の臨床経験、学会会員歴（5年以上）、および認定試験・審査への合格が必要です。この資格は5年ごとに更新が求められます。
研修活動: 2024年より、診療報酬上の「児童思春期支援指導加算」に関連する施設基準を満たすための、児童思春期医療に関する研修を開催しています。

学会の運営は、理事15名、監事2名、代議員100名によって行われています。会員数は2024年4月現在で4,650名です。学会への入会は電子申請が可能で、会員2名の推薦と略歴の提出が必要です。入会金は2,000円、年会費は10,000円です。

一般社団法人日本児童青年精神医学会は、子どもの心の健康問題に対する理解を深め、支援の質を高めるための学術的・臨床的な中心組織として、重要な役割を担っています。

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