日本切手専門カタログ

『日本切手専門カタログ』、通称『日専』は、日本郵趣出版が刊行する、日本切手に関する最も専門的なカタログとして知られています。その歴史は1960年12月に発行された『新日本切手カタログ』（1961年版、B6判）に遡り、1967年版からはA5判として刊行され、1978年版で現在の『日本切手専門カタログ』へと名称が変更されました。2010年には刊行50周年を迎え、長年にわたり日本の切手収集家にとって欠かせない存在となっています。

このカタログは、日本で最初に発行された切手から最新の切手までを網羅し、専門的な切手評価と詳細なデータを提供します。切手の分類と評価方法は、普及版である「さくら日本切手カタログ」と共通の方針を採用しており、初心者からベテランまで幅広い層に対応しています。

『日専』の最大の特徴は、切手1種ごとの評価に留まらず、同種の切手のタイプ違いやバラエティなど、多岐にわたる項目を詳細に記載している点です。状態の違いによる評価の差や、切手を貼ったままの郵便物（カバー、エンタイア）の価値も示し、それぞれの切手について多角的な視点から評価を提示しています。

2004年には、沖縄、満州国、中国占領地、南方占領地を専門とした『日専 日本関連地域カタログ2004』が刊行されました。これを受け、2005年版からはこれらの地域のページはカタログ本体から分離されました。2007年以降は更に分冊化が進んでいますが、全巻が一度に刊行されるわけではありません。例えば、Vol.1（戦前編）とVol.3（日本関連地域編）では刊行時期が異なります。

2012年版を最後に一時中断されていましたが、2016年からは分巻方法を変更し、普通切手専門のシリーズとして刊行が再開されました。以下は、2024年現在の最新版です。

日本普通切手専門カタログ VOL.1 戦前編（2016年）
日本普通切手専門カタログ VOL.2 戦後・ステーショナリー編（2017年）
* 日本普通切手専門カタログ VOL.3 郵便史・郵便印編（2018年）

掲載分野は多岐にわたり、普通切手、記念切手、特殊切手、ふるさと切手、グリーティング切手、写真付き切手、フレーム切手など、様々な種類の切手が掲載されています。普通切手では、手彫切手（竜切手、桜切手、鳥切手）、小判切手、菊切手、大正切手、昭和切手、新昭和切手、産業図案切手、動植物国宝図案切手などが詳細に解説されています。

記念切手や特殊切手では、文化人シリーズ、花シリーズ、鳥シリーズ、魚介シリーズ、自然保護シリーズ、観光地百選シリーズ、世界遺産シリーズ、国宝シリーズ、アニメ・ヒーロー・ヒロインシリーズなど、多種多様なテーマの切手が網羅されています。また、在外局切手（在朝鮮局、在中国局）、軍事切手、郵便貯金切手、台湾地方切手、選挙切手など、特殊な切手も掲載されています。

さらに、沖縄切手、「満州国」切手、中国占領地切手、南方占領地切手といった日本関連地域切手、普通はがき、外信用はがき、記念はがき、年賀はがきなどのステーショナリーも収録されています。

『日本切手専門カタログ』は、切手収集家にとって、切手の価値や背景知識を深めるための貴重な情報源であり、日本の郵趣文化を支える重要な存在と言えるでしょう。

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