日本国とインドとの間の平和条約

日印平和条約について

日印平和条約は、1952年に日本とインドの間で締結された講和条約で、通称は日印平和条約として知られています。この条約は、日本が戦後の混乱から復興するための重要な一歩であり、日印両国間の友好関係の構築に寄与しました。以下に、この条約の成立過程や内容について詳述します。

1. 条約の沿革

1952年の重要な日付

• - 6月9日: 東京で調印が行われ、日本側の全権委員は外務大臣の岡崎勝男氏、インド側の全権委員は在日本国インド大使館の特命全権大使K・K・チェトゥール氏です。
• - 6月10日: 日本の内閣が衆議院に「インドとの平和条約の締結について承認を求める件」を提出。
• - 6月14日: 衆議院が承認し、その後参議院に送付されました。
• - 7月5日: 参議院も承認し、内閣に通知されました。
• - 8月26日: 日本の官報により「日本国とインドとの間の平和条約（昭和27年条約第12号）」が公布されました。
• - 8月27日: ニューデリーにて批准書の交換が行われ、条約は発効しました。

2. 条約の内容

日印平和条約は、主に以下の要旨を含んでいます。
1. 通商協定と漁業協定: 両国は通商関係の強化と漁業分野での協定締結に努めることが求められています（第2条、第3条）。
2. 賠償請求の放棄: インドは、この条約をもって日本に対する賠償請求を放棄することを明記しています（第6条）。

3. 経緯と背景

この条約の成立に至る背景には、インドの当時の首相であるジャワハルラール・ネルー氏の持つ考え方があります。彼は1951年のサンフランシスコ講和会議に招請されるも、日本が適切な名誉と自由を有するべきであり、他の国々と同様に扱われるべきであると考え、会議への参加及び条約への調印を拒否しました。

ネルー氏は、占領下にある日本の主権が制限されている事態に対して批判的でした。具体的には、アメリカとの安全保障条約が合法であるかという問題や、沖縄や小笠原諸島に関するアメリカの信託統治について懸念を抱いていました。
一方で、彼は日本との関係回復に向けた意向も持ち合せており、平和条約の調印当日には、日本側と個別の平和条約を結ぶ意向があることを伝えました。

4. 条約後の関係

この平和条約で取り決められた外交・通商関係の規定は暫定的なものであり、具体的な内容の最終的な解決は、1958年に締結された日印通商条約にて達成されました。このように、日印平和条約は単なる講和に留まらず、その後の両国の外交と経済関係の基盤を築く重要な役割を果たしました。

5. まとめ

日印平和条約は、戦後の日本とインドの新たな関係を築くための重要なステップであり、両国の友好関係の証として今日に至るまで大切にされています。この条約の締結を契機に、両国は経済的な連携を強化し、国際的な舞台でも協力を深めていくことになります。

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