日本国有鉄道百年史

日本国有鉄道百年史の概要

『日本国有鉄道百年史』は日本の鉄道の発展を包括的に記録した歴史書です。この作品は、国有鉄道の前身から1972年までの約100年間の歴史を網羅しており、全19巻から構成されています。1957年から始まった編纂作業を経て、1969年から1974年にかけて刊行されました。

成り立ちと目的

国鉄が100周年を迎えるにあたり、その歴史を明らかにすることを目的にしたこのプロジェクトは、鉄道省が鉄道50周年を祝う際に刊行された『日本鉄道史』に触発されたものでした。その後の数十年間、日本の交通における豊富な資料や研究を基に、百年史の編纂が進められました。1942年には、鉄道70周年にあたる記念出版が企画されましたが、戦争により中止となりました。

編纂過程

国鉄は1957年から『日本国有鉄道百年史』の編纂準備を始め、1960年には新たに修史課を設置しました。さらに、外部の専門家も交えた修史委員会が設立され、歴史書の編纂方針が定められました。前半50年の執筆は修史課の職員が行い、後半の50年の執筆は国鉄各部局が担当することになりました。最初は全23巻の構成が考えられていましたが、最終的には19巻にまとめられました。

構成内容

この歴史書は以下のように編成されています：

• - 本編：14巻
• - 年表：1巻
• - 通史：1巻
• - 索引・便覧：1巻
• - 別巻 国鉄歴史事典：1巻
• - 写真史：1巻

ほぼ全ての巻が横書きであり、写真史の巻を除いてB5判サイズとなっているのが特徴です。

復刻版

1972年に日本国有鉄道の100周年を記念して刊行されたこの歴史書は、一度は絶版となりましたが、1997年には成山堂書店によって復刻版が刊行され、その後も多くの読者に親しまれています。1987年には、一部に1972年以降の資料を含む「日本国有鉄道百年写真史 追録・その後の15年」が付属された形で再販されています。

主な巻の内容と編別

以下は本書の主要な編別と巻数です：

• - 第1編 創業時代：1 - 2巻
• - 第2編 幹線伸長時代：3 - 4巻
• - 第3編 鉄道院時代：5 - 6巻
• - 第4編 鉄道省興隆時代：7 - 9巻
• - 第5編 戦時戦後時代：10 - 11巻
• - 第6編 公共企業体時代：12 - 14巻

これらの編成により、日本の鉄道史が時系列に沿って詳しく描かれています。

まとめ

『日本国有鉄道百年史』は、ただの記録ではなく、国鉄という一つの組織が日本の交通インフラに与えた影響や変遷を理解するための重要な資料です。交通の発展とともに歩んできた国鉄の歴史は、多くの研究者や愛好者によって、今後も研究され続けることでしょう。

もう一度検索