日本坂トンネル火災事故

1979年 7月11日18時40分頃、東名高速道路の日本坂トンネル下り線で、多重衝突による火災が発生しました。この事故は、トンネル内での車両の接触が引き金となり、焼失した車両は173台に上る大惨事となりました。

事故の概要

事故は、日本坂トンネルの出口から約400メートルの地点で発生しました。ここでは乗用車2台と大型トラック4台が絡む追突事故が起きました。事故の背景には、先行する2台の大型トラックの接触事故があり、これがトンネル内の渋滞を引き起こしていました。名古屋ナンバーのトラックが前方不注意の後続車に追突され、その衝撃で燃料が漏れ、火災が広がりました。

この火災により、4名が即死、3名が焼死し、他に2名が負傷しました。事故によって火災が続き、鎮火には約65時間も要しました。当時の火災は、可燃性の高い積載物が影響し、トンネル内は次々と燃え広がりました。

事故後の対応

事故発生直後、トンネルの入り口にはパトカーが到着し、トンネル内に取り残された乗員の救助活動が進められました。しかし火災の煙の影響で、消防車両もすぐには到着できず、消火活動が難航しました。鎮火後の調査では、トンネル内の構造物に大きな損傷が見られました。

また、報道陣もこの大事故を追って取材を行いましたが、風向きの関係で静岡側からの取材は困難でした。焼津側からの取材では、火災直後の貴重な映像が収録され、消火活動の困難さも浮き彫りになりました。

事故の影響

この事故は東名高速道路の物流に大きな影響を与えました。トンネルの通行止めにより、周辺の道路では数十キロにも及ぶ渋滞が発生しました。その影響で、プロ野球の試合も中止に追い込まれるなど、広範囲にわたる混乱が生じました。また、国道や並行道路でも交通が麻痺し、物資の搬送に支障が出る事態となりました。

事故後の教訓と対策

この火災事故は、トンネル内の防災対策の重要性を再認識させる契機となりました。事故後は、新たな消火設備や換気装置の導入が進められ、速度制限や車線変更禁止の措置が取られるようになりました。特に、情報板が未設置だった日本坂トンネル入口には、危険を知らせるための信号機と情報板が新たに設置されました。

現在の状況

その後トンネルは1998年に改築され、現在は新たな設備で運営されています。事故の影響を受けたトンネルへの教訓は、今もなお多くの長距離トンネルに活かされています。日本坂トンネル火災は、日本道路史における重要な教訓として、今後の安全管理に役立てられています。

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