日本宣伝美術会

日本宣伝美術会（JAAC）とは

日本宣伝美術会（Japan Advertising Artists Club）、通称「日宣美」は、1951年から1970年まで存在した日本の美術団体です。戦後の広告・デザイン業界において、重要な役割を果たしました。

結成の背景

日宣美の前身は、1938年に結成された「広告作家懇話会」に遡ります。第二次世界大戦後、この懇話会のメンバーが中心となり、1950年12月にデザイナーの職能団体「東京広告作家クラブ」を設立。翌1951年、同クラブのメンバーによって日宣美が創立されました。

初代委員長には山名文夫が就任し、原弘、新井静一郎、亀倉雄策、河野鷹思ら、当時を代表する約50名のデザイナーが参加しました。

活動内容

日宣美は、全国の主要都市で毎年展覧会を開催し、1953年からは作品公募を開始しました。この公募展は、若手デザイナーにとって登竜門となり、数々の才能を輩出しました。

しかし、1960年代に入ると、日宣美は「停滞」しているとの批判を受けるようになります。また、組織が権威化していくにつれて、美術系の学生たちから批判の対象となりました。

解散へ

1960年代末、美術系の学生運動が活発化する中で、「革命的デザイナー同盟」や「美共闘」といったグループが日宣美を批判しました。1969年8月には、武蔵野美術大学の学生・戸井十月らが「日宣美粉砕共闘」を結成し、第19回日宣美展覧会の審査会に乱入。展覧会の中止を余儀なくさせました。この事件が決定打となり、日宣美は翌1970年に解散を宣言。東京、名古屋、大阪の三都市で「解散展」を開催し、その活動に終止符を打ちました。

主な受賞者

日宣美の公募展は、数多くの才能あるデザイナーを輩出しました。以下は主な受賞者の一部です。

1955年: 粟津潔
1957年: 杉田豊、山藤章二
1958年: 田名網敬一、和田誠、横尾忠則
1959年: 毛利彰
1962年: 辰巳四郎
1965年: 小島良平、浅葉克己

まとめ

日宣美は、戦後の日本におけるグラフィックデザインの発展に大きく貢献しました。しかし、組織の権威化や学生運動の高まりといった社会的な変化の中で、解散という結末を迎えました。日宣美の活動は、日本のデザイン史における重要な出来事として、記憶されています。

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