日本島嶼学会

日本島嶼学会

日本島嶼学会（にほんとうしょがっかい、英語名称: Japan Society of Island Studies, 略称: JSIS）は、日本を拠点とする学術研究団体です。その主たる目的は、島嶼に関する研究分野である「島嶼学」を、学際的かつ職際的な、さらには国際的な視点から推進し、その発展に寄与することにあります。本学会は、日本の学術研究の振興において重要な役割を担う日本学術会議から、協力学術研究団体の一つとして認められています。

設立の背景と歩み

本学会の設立に向けた具体的な動きは、1994年に沖縄の地で開催された第1回国際島嶼学会（International Small Island Studies Association; ISISA）を契機に活発化しました。この国際会議での議論や交流を通じて、日本国内における島嶼研究の連携強化と専門組織設立の必要性が強く認識されました。その後、設立準備会などを経て、1998年に長崎ウエスレヤン短期大学で行われた総会において、正式に日本島嶼学会として発足しました。

学会発足の翌年である1999年からは、毎年継続的に年次大会を開催しています。これらの大会は、研究成果を発表し、会員間の情報交換や議論を深めるための中心的な活動の場となっており、日本の様々な離島や大学キャンパスを会場として開催されています。離島での開催は、研究対象である島々の実情に触れる貴重な機会ともなっています。

組織と会員

学会の運営に関わる事務局機能は、鹿児島大学内に設置されている国際島嶼教育センターに置かれています。鹿児島大学は古くから島嶼研究において実績があり、その教育研究拠点である国際島嶼教育センターが学会事務局を担うことは、活動の基盤強化に繋がっています。

本学会の会員は、島嶼に関心を寄せ、多様な視点から研究や実務に携わる専門家によって構成されています。会員の専門分野はきわめて多岐にわたり、人文地理学、文化人類学、社会学、経済学、政治学といった人文・社会科学系の分野から、生態学、生物学といった自然科学系の分野まで、非常に幅広い領域を網羅しています。この学際的な構成は、自然環境、社会、文化、経済など多面的な要素が複雑に絡み合う島嶼という対象を総合的に理解しようとする島嶼学の性質を反映しています。2017年12月時点での会員数は、正会員、準会員、学生会員を含め、総計208名でした。

活動と刊行物

年次大会の開催に加え、本学会は研究成果の発信と情報共有を目的とした様々な刊行物を発行しています。最も重要な刊行物は、学会の公式機関誌である『島嶼研究』です。この学会誌は2000年から刊行が始まり、当初はほぼ年に一度の発行でしたが、2016年からは年間2回発行されるようになり、島嶼に関する最新の研究論文や学術的な報告などが掲載されています。

また、学会の年間の活動報告や関連情報のまとめを掲載する年報『島嶼学』や、会員向けの連絡事項や情報を発信する『ニュースレター』も定期的に刊行しており、学会内外への情報発信と会員間の連携強化に努めています。

関連事項

日本島嶼学会は、国内外の関連する組織や概念とも深いつながりを持っています。国際的には、設立の契機となった国際島嶼学会（ISISA）との連携があります。また、アジア地域では、韓国島嶼学会（Korea Society of Island Studies）など、近隣国の島嶼研究組織との交流も行われています。

国内においては、日本の離島地域の振興を推進する日本離島センターなども、島嶼に関わる重要な組織であり、本学会の研究活動とも関連があります。「島嶼性（Insularity）」という概念は、島嶼が持つ地理的な孤立性などが、自然環境や社会、文化、経済に与える影響を多角的に分析するための重要なキーワードであり、本学会の研究対象の核をなしています。

本学会のより詳細な情報や最新の活動状況については、公式ウェブサイトで確認することができます。

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