日本橋髙島屋三井ビルディング

日本橋髙島屋三井ビルディングと日本橋二丁目地区再開発

日本橋髙島屋三井ビルディングは、東京都中央区日本橋にそびえる超高層複合ビルです。江戸時代から続く歴史と、近年の都市開発が融合したこの建物は、日本橋二丁目地区第一種市街地再開発事業の成果として、2020年度グッドデザイン賞ベスト100を受賞しました。本稿では、このビルディングを中心とした再開発事業の経緯と、街区全体の概要を解説します。

日本橋地区の変遷と再開発の必要性

日本橋地区は、古くから多くの老舗や百貨店が集積する商業の中心地でした。三井財閥（現在の三井グループ）も、三井本館など重要な拠点を構えていました。高度経済成長期には金融・証券会社なども進出し、発展を続けました。しかし、平成時代に入ると、多くの建物が老朽化し、耐震基準の問題も深刻化。企業の転出も目立つようになり、再開発の必要性が叫ばれるようになりました。

再開発プロジェクトの推進

2005年、地元権利者有志による勉強会が発足。翌年には「日本橋二丁目5番、6番地地区まちづくり協議会」が設立され、本格的な再開発に向けた議論が始まりました。ランドマーク的存在であった髙島屋日本橋店本館（旧高島屋東京店）の老朽化が課題でしたが、三井本館・日本橋三井タワーの保存事例を参考に、本館を保存・活用する方向で合意が形成されました。

2009年には、髙島屋日本橋店本館が重要文化財に指定され、この決定は再開発計画に大きな影響を与えました。隣接する北街区（東京日本橋タワー）と共に都市再生特別地区の提案を行い、2011年に都市計画が決定。その後、再開発組合が設立され、2014年に権利変換計画が認可されたことで、工事が本格的にスタートしました。A、C、D街区は2018年、B街区は2019年に竣工しています。

街区ごとの概要

再開発では、各街区に様々な機能が配置されました。

A街区：太陽生命日本橋ビル

地下5階地上27階建て。4階～5階には日本橋髙島屋S.C.東館（ポケモンセンタートウキョーDX＆ポケモンカフェなど）、8階～26階はオフィスフロアとなっています。また、街区全体で利用するエネルギーセンターも設置されています。

B街区：日本橋髙島屋本館

重要文化財に指定された髙島屋日本橋店本館を活用。荷捌場や駐車場機能をA、C街区に移設することで、本館の改修を行い、営業を継続しながら施工が行われました。重要文化財の活用を継続するという全国的にも先駆的な試みとなりました。

C街区：日本橋髙島屋三井ビルディング

地下5階地上32階建て。地下1階から地上7階は日本橋髙島屋S.C.新館として、海外ブランドなど115の専門店が入居。オフィスワーカー向けに、早朝・深夜営業の店舗も配置されています。9階には、日本橋三井ホールも設置されています。10階から32階はオフィスフロアで、大学院大学至善館などもキャンパスを置いています。

D街区

休息所や地域防災倉庫が整備されました。

新たな街空間の創造

再開発により、B、C街区間の区道284号線は歩行者専用道路となり、「日本橋ガレリア」と呼ばれるガラス張りの大屋根が設置されました。地下には、地下鉄コンコース直結の地下歩行者ネットワークと地下広場も整備され、快適な歩行者空間が実現しました。さらに、「日本橋ガレリアエリアマネジメント」が設立され、街の賑わい創出に向けた活動も展開されています。

まとめ

日本橋髙島屋三井ビルディングは、単なる高層ビルではなく、歴史と未来が融合した、日本橋地区の新たなランドマークです。再開発によって、歴史的建造物の保存と活用の成功例を示すとともに、快適で魅力的な街空間が創造されました。このプロジェクトは、今後の都市開発における重要なモデルケースとなるでしょう。

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