日本歯科評論

『日本歯科評論』（にっぽんしかひょうろん）は、英語での名称をThe Nippon Dental Reviewとする、歯科医療に携わる専門家を主要な読者層とした月刊の専門誌です。この雑誌は株式会社ヒョーロン・パブリッシャーズによって発行されており、その発行部数は現在、約17,000部に及んでいます。歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士など、日本の歯科界に広く読まれています。

本誌の源流は非常に古く、大正時代にまで遡ります。具体的には、1919年に中京歯科評論社から刊行が開始された『中京歯科評論』が、その前身にあたります。創刊から間もない時期には、地域名を冠していましたが、やがて全国的な視点を持つ専門誌へと発展していく道を歩みました。

その後、時代と共に誌名は複数回変更されています。まず『日本の口腔衛生』、次いで『日本口腔衛生』と改題され、歯科分野における口腔衛生の重要性が高まる社会的な背景を反映していたと考えられます。口腔の健康が全身の健康に不可欠であるという認識が広がるにつれて、専門家向けの情報も予防医学としての口腔衛生に焦点を当てる必要が出てきたのでしょう。

そして1940年、現在の誌名である『日本歯科評論』へと改められました。この名称への変更は、歯科医学、歯科医療技術、関連する社会動向など、歯科分野全体にわたる幅広い評論や分析、最新の研究成果などを網羅的に取り扱う専門性の高さを強調するものとなりました。

しかし、本誌の歴史には困難な時期もありました。第二次世界大戦中の1944年には、戦時企業統制令という国家的な出版規制の影響を受け、他の多くの刊行物と同様に、一時的に発行を中断せざるを得なくなりました。これは、専門分野の情報伝達においても厳しい時代であったことを示しています。

終戦後、日本社会が復興への道を歩み始めた1946年、『日本歯科評論』は無事に復刊を果たしました。戦時中に断絶した情報フローを再開し、日本の歯科医療の立て直しと新たな発展を支えるという重要な役割を再び担うことになったのです。

復刊以降、本誌は今日に至るまで、一度も休止することなく月刊での発行を継続しています。常に変化し進歩する歯科医学・医療の最前線情報をはじめ、新しい治療法、診断技術、歯科材料に関する知見、さらには歯科医療を取り巻く制度や経営に関する話題まで、多岐にわたる情報を提供し続けています。これらの内容は、日々の臨床や研究活動、そして歯科医療機関の運営にとって不可欠なものです。

17,000部という安定した発行部数は、本誌が長年にわたり日本の歯科関係者から高い信頼を得ている証であり、専門分野における情報源としての確固たる地位を示しています。1世紀を超える歴史を持つ『日本歯科評論』は、これからも日本の歯科医療の質向上と発展に貢献していくことが期待されています。

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