日本老年社会科学会

日本老年社会科学会

日本老年社会科学会（にほんろうねんしゃかいかがっかい、英文名：Japan Socio-Gerontological Society）は、高齢化が急速に進む現代社会において、社会科学的な視点から老年期に関する様々な現象や課題を研究し、その学術的な進歩・発展を目指す団体です。1959年に設立されて以来、この分野における日本の中心的な学術団体として活動を続けており、関連する他の学術領域との協力を重視しています。

設立背景と位置づけ

本学会は、老年期の医学的側面を研究する日本老年医学会と連携し、両学会の連合体である日本老年学会を構成する主要な単位学会の一つとして発足しました。これは、高齢者や高齢社会が抱える問題が、医学だけでなく、社会、心理、経済、文化など多岐にわたる分野からのアプローチを必要とするという認識に基づいています。日本老年学会は1959年に設立され、本学会もその黎明期から参画しています。また、日本老年学会として国際的な学術組織である国際老年学会にも加盟しており、グローバルな視点での研究交流も行っています。

主な活動内容

日本老年社会科学会は、設立目的に沿って多岐にわたる事業を展開しています。その主要な活動には以下のものがあります。

学術集会（大会）・総会の開催: 年に一度、全国から老年社会科学の研究者や実務家が集まる学術集会を開催しています。ここでは、最新の研究成果が発表され、活発な議論が行われます。高齢者の生活、社会参加、福祉、介護、地域社会との関わり、世代間関係など、高齢社会に関する様々なテーマが取り上げられます。この大会は、会員間の情報交換やネットワーク構築の重要な機会でもあります。
機関誌の発行: 老年社会科学分野の専門的な学術誌である『老年社会科学』（Japanese Journal of Gerontology）を定期的に発行しています。この機関誌には、厳正な査読を経たオリジナルの研究論文やレビュー、資料などが掲載されており、国内外の研究コミュニティに対して日本の老年社会科学の研究水準を示すとともに、新たな知見を発信しています。本誌は年間4回発行されています。
研究の推進と普及: 会員の研究活動を支援し、老年社会科学の研究成果を社会に広く普及させるための活動も行っています。

研究領域と関連学会

本学会が扱う研究領域は、学際分野である老年学（ジェロントロジー）の中の社会科学的な側面に焦点を当てています。具体的には、高齢者の社会生活、家族との関係、経済状況、心理状態、地域コミュニティにおける役割、高齢者向けの社会政策や福祉サービス、介護システム、高齢者の社会参加、世代間交流などが研究対象となります。認知症や高齢者全般に関する課題も重要なテーマです。

また、高齢社会の複雑な課題に対処するため、関連する他の分野との連携も不可欠です。本学会は、以下のような学術分野や学会との連携を深めています。

老年医学や老年精神医学（精神医学を含む）といった医学系の分野
基礎老化学のような生物学系の分野
高齢者虐待防止やケアマネジメント（老人看護も含む）といった福祉・介護関連の分野

これらの関連領域の研究者や実務家との交流を通じて、多角的な視点から高齢社会の課題解決を目指しています。

事務局所在地

本学会の事務局は、東京都新宿区神楽坂4丁目1番1号にある株式会社ワールドプランニング内に置かれています。

結び

日本老年社会科学会は、社会科学の専門知識と研究手法を駆使して高齢社会の現状を分析し、未来を展望する役割を担っています。学術集会や機関誌を通じた研究成果の発信、関連分野との連携強化を通じて、高齢者がより豊かで安心して暮らせる社会の実現に貢献すべく活動を続けています。

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