日本聖化基督教団

日本聖化基督教団（にほんせいかきりすときょうだん）は、1940年に設立された日本のプロテスタント教会に属する団体の一つです。太平洋戦争開戦前夜という特定の歴史的背景のもと、複数の既存教派が合同して設立されました。

成立の背景と経緯

1930年代後半、日中戦争の拡大とともに日本の国家体制は総力戦体制へと移行しつつありました。こうした社会情勢の中で、政府はキリスト教を含む国内の宗教団体に対し、国家への協力を強く求め、その組織統合を奨励する政策を推し進めました。これにより、日本のプロテスタント教会界でも、教派の垣根を越えた合同の動きが活発化しました。

1940年10月17日に開催された全国基督教信徒大会は、日本の主要なプロテテスタント教会の大合同に向けた重要な契機となりました。この大会において将来的な大合同に向けた宣言がなされ、これを受けて教会合同準備委員会が設けられました。

日本聖化基督教団は、この教会合同準備委員会に参加していた教派の一部が、まず先行して合同を実現したものです。具体的には、以下の五つのプロテスタント教派が合流しました。

日本自由メソヂスト教会
日本ナザレン教会東部部会
日本ナザレン教会西部部会
日本同盟基督協会
世界宣教団

これらの教派は、いずれもメソジスト派やホーリネス運動、聖化運動といった、個人的な信仰生活における聖化を重視する信仰的傾向を持つ教会が多く含まれていました。「聖化」という教団名称は、こうした合同参加教派の信仰的特徴を反映していると考えられます。

教団の組織化と日本基督教団への加入

上記の五教派の合同は、1940年11月7日に大阪にあった自由メソヂスト神学校において開催された合同大会を経て、正式な教団組織として確立されました。これにより、日本聖化基督教団は新たな合同教会としてその歩みを開始しました。

しかしながら、日本聖化基督教団としての独立した活動期間は非常に短いものでした。政府主導によるプロテスタント教会の大合同の動きはさらに進展し、翌1941年6月には日本の主要なプロテスタント教会のほとんどが合流して、巨大な合同教会である日本基督教団が成立しました。日本聖化基督教団もこの大合同に参加し、その一部となりました。

具体的には、旧日本聖化基督教団を母体とする教会群が、日本基督教団の第8部を構成することになりました。これにより、日本聖化基督教団という名称を持つ独立した団体は消滅しましたが、その教会群は日本基督教団の内部でその信仰的遺産を受け継ぎ、活動を続けることとなりました。

日本聖化基督教団は短期間しか存在しませんでしたが、戦時下における日本のキリスト教界の再編という歴史的な出来事の一環として、その存在意義を位置づけることができます。

参考文献

『日本キリスト教歴史大事典』教文館、1988年
中村敏『日本における福音派の歴史』いのちのことば社、2000年

関連項目

日本のプロテスタント教派一覧
* 日本基督教団

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