日本農林規格

日本農林規格（JAS）の概要

日本農林規格（JAS）は、農林物資の規格化等に関する法律（JAS法）に基づいて制定された、農林水産物やその加工品の品質保証のための規格です。1950年のJAS法公布以来、日本の食の安全と安心を支える重要な役割を担っています。一般的に「JAS規格」や「JASマーク」と呼ばれ、広く認知されています。

JASマークは、製品がJAS規格に適合していることを示す証であり、消費者はこのマークを目印に、品質や安全性に配慮された製品を選ぶことができます。この規格は、農産物、林産物、水産物、畜産物、そしてそれらを加工した食品など、幅広い品目をカバーしています。

JAS規格の種類

JAS規格は、いくつかの種類に分類されます。主な種類は以下の通りです。

1. 一般JAS

一般JASは、食品や林産物などの品質（成分、性能など）について、一定の基準を満たしている製品に付与される規格です。例えば、醤油、味噌、米、木材などが該当します。2004年7月時点では76品目247規格が存在していました。

2. 有機JAS

有機JASは、有機農産物や有機加工食品に付与される規格です。化学肥料や農薬を使用せず、自然環境に配慮した栽培方法によって生産された農産物などが対象となります。有機JASマークの表示には、登録認証機関による検査と認証が必要です。認証されていない製品は、「有機」や「オーガニック」と表示できません。有機JASに関する規格は、有機農産物、有機加工食品、有機飼料、有機畜産物などについて、それぞれ定められています。

3. 特定JAS

特定JASは、特色ある生産方法や原材料に着目した認証制度です。熟成ハムや地鶏肉など、特定の生産方法や原材料を用いた製品に付与されます。これらの製品は、独自の品質や風味を有していることが特徴です。

4. 生産情報公表JAS

生産情報公表JASは、食品のトレーサビリティ（生産履歴の追跡可能性）を確保するための規格です。生産情報が明確に公表されている牛肉、豚肉、農産物などに付与されます。消費者は、このマークによって、製品の生産履歴を容易に確認できます。

5. 流通JAS

流通JASは、流通段階での工程管理が適切に行われている事業者に対して付与される規格です。流通段階でのトレーサビリティの確保を目的としています。

規格違反に対する義務と制裁

JAS法違反、特に品質表示基準違反については、厳格な対応が求められます。違反した場合、指示や命令が下され、その旨が公表されることがあります。2010年以降、JAS法の運用は厳しくなり、2011年1月1日からは、規格違反の業者は自ら違反内容を公表する義務が課せられました。公表しない場合は、農林水産省が業者名を公表します。これは、消費者の保護とJAS制度の信頼性を維持するために重要な措置です。

まとめ

JAS規格は、日本の農林水産物の品質を保証し、消費者の安全・安心を確保するための重要な制度です。多様な規格が存在し、それぞれの目的に応じて適切な規格が適用されています。今後も、JAS制度は、日本の食料安全保障の向上に貢献していくことが期待されます。

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