日本農業技術検定

概要

日本農業技術検定は、日本農業技術検定協会によって実施される検定試験です。この協会は、事務局を全国農業会議所に置いています。本検定は、主に農業分野での学習や就業を目指す人々を対象としており、農業に関する専門的な知識や実践的な技術の習得度を評価することを目的としています。

この検定は、しばしば「農検」や「農業検定」といった略称で呼ばれることがありますが、注意が必要です。これらはあくまで通称であり、日本農業検定という名称の別の検定が存在するため、混同しないよう区別されます。

対象者

日本農業技術検定は、幅広い層の農業関連学習者や就業者を目指す人々を対象としています。具体的には、農業高等学校や農業大学校、農学部などの農業系教育機関に在籍する学生や生徒の学習成果を確認する機会として位置づけられています。また、就農準備校で専門的な訓練を受けている人々や、農業法人などで新規に就農したり、将来的に独立して農業経営を行ったりすることを目指して研修に励む研修生、さらには農業の後継者なども、本検定の主な対象者となります。

検定の構成と試験形式

本検定には複数の等級が設けられており、それぞれの等級において、出題される分野や対象とする学習・経験レベルが異なります。受験者は自身の知識や経験に応じて適切な等級を選択することになります（ただし、等級ごとの詳細な出題範囲や対象レベルは、実施要項等で別途定められます）。

学科試験は、一般的にマークシート形式を採用した択一選択方式で実施されます。これにより、農業に関する基礎知識や専門知識が幅広く問われます。

試験の実施について

学科試験は、例年、全国各地の指定された会場で実施されます。試験日程は実施年度によって異なりますが、例えば2015年度には、7月と12月に学科試験が実施されました。受験申込みは、原則としてインターネット経由で行われることが多く、所定の期間内に手続きを完了させる必要があります。

実技試験については、等級によって実施方法や受験資格が異なります。

2級の実技試験は、特定の会場で実施されるのが一般的です。例えば、2015年度は鯉淵学園農業栄養専門学校の農場で行われました。この2級実技試験に関しては、受験者が既に一定の農業経験を有している場合や、農業関連の学校を卒業している、あるいは在学中であるといった条件を満たす場合に、実技試験が免除される制度が設けられています。免除を希望する場合は、別途定められた手続きを行う必要があります。

1級の実技試験は、受験資格がより厳格に定められています。まず、1級の学科試験に合格していることが必須条件となります。さらに、学科試験合格に加え、原則として2年以上の農業従事経験を有しているか、または日本農業技術検定協会が別途定める基準に適合する必要があります。この「就農経験」には、広範な農業関連の実務経験が含まれます。例えば、JA（農業協同組合）の営農指導員や、都道府県等の普及指導員、大学や高等学校などの教育機関に勤務する技術職員としての実務経験も、農業従事経験と同等とみなされる場合があります。

また、大学の農学系の学部に在籍する学生についても、特定の条件を満たせば1級実技試験の対象となります。具体的には、農場での実習において一定単位（インターンシップによる実習も含む）を取得し、かつ全国大学付属農場協議会によってその実習内容が認定された者が対象となります。

1級実技試験の試験方法は、要素問題形式のペーパーテストで行われます。この試験では、農業に関する基礎的な確認事項に加え、受験者が選択した専門分野におけるより高度な実践的知識や、これまでの経験に基づいた思考力を問う論述式問題が出題されます。

日本農業技術検定