日本郵便格差訴訟

日本郵便格差訴訟の概要

日本郵便格差訴訟は、同一労働同一賃金に関する問題を巡り、日本郵便株式会社の従業員が提起した一連の裁判です。これらの訴訟は、主に東京、大阪、佐賀において行われました。

背景

この訴訟は、無期契約の労働者と有期契約の労働者の間に存在する手当の支給において、不合理な格差があるのではないかという主張から発展しました。具体的には、年末年始勤務手当や病気休暇、扶養手当などの手当の支給に差があることが問題視されています。

裁判の内容

具体的な事例としては、以下のようなケースが挙げられます。

• - 日本郵便（東京）事件（令和元年（受）第777号、第778号） では、無期契約労働者に祝日を除く特定の期間に勤務したことに対する祝日給を支給する一方で、有期契約労働者にはその割増賃金が支給されていないことが争点となりました。
• - 日本郵便（大阪）事件（令和元年（受）第794号、第795号） では、扶養手当や年末年始勤務手当の支給の不平等が問題視されました。
• - 日本郵便（佐賀）事件（平成30年（受）第1519号） では、夏期休暇及び冬期休暇の付与に差があることが焦点となりました。

これらの訴訟を通じて、労働契約法第20条に基づく不合理な相違扱いがあるかが検討されました。特に、無期契約労働者が受けるべき手当が有期契約労働者には支給されないという点が、法律に違反するのではないかという意見が強く出されました。

最高裁判決

最高裁は各手当について、無期契約労働者が継続的に雇用されることを前提に、生活保障や福利厚生の観点から評価しました。例えば、扶養手当は、無期契約労働者が扶養する家族を持っている場合、生活設計を容易にし、継続的な雇用を促進する目的があると認定されました。また、年末年始勤務手当についても、その特異性から支給されるべきとされ、有期契約労働者に対しては不公平であるとの判断が下されました。

その後の影響

この判決を受けて、日本郵便は各種手当の支給に関する規定を改定しました。有期契約労働者にも年始勤務手当が支給されるようになり、長期雇用の有期契約労働者にも扶養手当や夏期・冬期休暇が付与されることになりました。また、住居手当の支給については変更があり、十年間の経過措置が設定されました。

以上のように、日本郵便格差訴訟は労働契約法の適用に関する重要な前例を作り、今後の雇用ルールの確立に大きな影響を及ぼしました。特に、非正規雇用者の待遇改善に向けた動きが加速する可能性があります。

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