日本音響家協会

一般社団法人日本音響家協会：日本の音響文化を支える団体

一般社団法人日本音響家協会（略称：日本音響家協会、英称：Sound Engineers & Artists Society of Japan, SEAS）は、演劇、音楽、放送、そして劇場やホールなどの空間設計に携わる音響のプロフェッショナル集団です。音響技術者、音響デザイナー、そして音響芸術家など、多様な分野の専門家が個人会員として参加し、日本の音響文化の発展に貢献しています。

協会の設立と歴史

協会のルーツは、1972年に設立された新劇音響効果家協会に遡ります。その後、日本演劇音響効果家協会を経て、1977年、PA事業者団体である日本PA技術者協議会との統合を機に、現在の日本音響家協会が誕生しました。設立当初は任意団体でしたが、2008年には一般社団法人へと移行し、組織体制を強化しました。

協会設立以前の1975年には、「舞台音響技術向上会」が設立され、舞台、放送、音響機器メーカーなど、様々な分野の関係者が集まり、プロの音響技術に関する勉強会が開催されていました。この活動が、日本音響家協会設立の礎となりました。1976年の国立劇場での文化庁主催研修会が、公共ホールの音響技術者たちの交流を深め、「舞台音響技術向上会」を発展的に解消、そして日本音響家協会設立へと繋がりました。

2020年には、新型コロナウイルスの流行により多くの音響技術者が仕事の機会を失ったことを受け、協会は会員の年会費免除や機関誌広告料半額などの支援策を実施しました。また、従来からのテレワーク体制に加え、理事会や支部運営会をWeb会議で開催するなど、迅速な対応で会員をサポートしました。オンラインでの技能認定講座も実施し、変化への柔軟な対応をみせました。

協会の主な事業

日本音響家協会は、日本の音響技術の向上と音響家の育成、そして音響文化の発展に寄与するため、様々な事業を展開しています。主な事業としては以下のものがあります。

音響家技能認定講座／音響技術者能力検定: 1990年から開始されたこの講座は、舞台芸術における音響技術者の高度なスキルと芸術性を育成するためのものです。講座修了後には検定試験が実施され、合格者には資格が与えられます。優秀な舞台技術者の育成に大きく貢献しています。
日本音響家協会賞: 2000年に創設されたこの賞は、音響分野の発展に貢献した個人や団体を表彰するものです。技術、活動、芸術作品、機器開発など、様々な分野での功績が評価の対象となります。
* 優良ホール100選: 2000年に開始されたこの制度は、音響設備や運用面で優れたホールを選定し、公表することで、全国のホールのレベル向上を目指しています。単に優れたホールを称えるだけでなく、日本のホール全体の質の向上に寄与することを目的としています。全国2500以上の劇場・ホールの中から、優れた施設を選定することで、ホール利用者の満足度向上にも繋がっています。

協会の役割と将来展望

日本音響家協会は、日本の音響文化を支える重要な役割を担っています。今後も、音響技術者や芸術家の育成、優れたホールの選定、そして音響分野の発展に貢献していくことで、日本の音響文化の更なる発展に貢献していくことが期待されています。会員相互の連携強化、国際交流の推進など、更なる発展のための活動も積極的に行われています。日本の音響技術の未来を担う重要な組織として、その活動に注目が集まっています。

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