日東航空

日東航空について

日東航空（にっとうこうくう）は、かつて日本で活動していた航空会社で、英語名はNitto Aviation、略称はNALです。この会社は、1952年7月4日に設立され、国内の定期旅客便として小型の水陸両用機を使用していました。しかし、1964年には富士航空や北日本航空との合併を経て、日本国内航空となり、最終的には別の企業へと統合されました。

設立と沿革

日東航空は、1952年4月2日に「日本観光飛行協会」として設立され、1958年に「日東航空株式会社」へと社名変更が行われました。本社は大阪市北区に置かれ、1955年1月1日からは大阪にある八尾空港と白浜を結ぶ路線を運航開始しました。

設立当初の資本金は5,000万円でしたが、1959年には近畿日本鉄道が資本参加し、1964年には資本金を12億円に増資しました。この年、日東航空は富士航空および北日本航空と合併し、日本国内航空として新たなスタートを切りました。その後、1971年には東亜航空との合併を経て、東亜国内航空となります。

1988年には日本エアシステム（JAS）に名称を変更し、2002年には日本航空の傘下に入り、2004年には再び社名を日本航空ジャパンに変更しました。そして、2006年には日本航空インターナショナルに吸収され、企業としては完全に消滅しました。

運航について

日東航空は、大阪国際空港を拠点に、南紀や瀬戸内などを対象とした遊覧飛行も行っていました。1960年からは、大阪と徳島、高知の間に定期便も運航されており、他に南紀白浜や串本、志摩、新居浜、別府などへの不定期旅客便も提供していました。

特筆すべきは、日東航空が使用していた水陸両用機の存在です。第二次世界大戦後、陸上機が主流となった航空界において、日東航空はアメリカ製のグラマン マラードやカナダ製のオッターといった小型機を運航していました。これにより与えられた利点は、空港がない地域でも海面さえあれば離着陸が可能な点です。

しかしながら、水陸両用機は運航コストが高く、輸送力が限られているため、経営は厳しい状態でした。さらに、当時の飛行艇は他社でほとんど運用されていなかったため、整備の難しさや機体トラブルが多発し、その結果として2回の人身事故も発生しました。これらの事故、具体的には日東航空つばめ号墜落事故や日東航空おやしお号墜落事故は、航空会社の歴史における悲劇的な出来事です。

使用機材

日東航空で使用されていた主要な機材には、以下のものがあります。

• - パイパーPA-18 スーパーカブ
• - デ・ハビランドDHC-2 ビーバー
• - デ・ハビランドDHC-3 オッター
• - グラマンG44A スーパーウィジョン
• - グラマンG73 マラード
• - コンベアCV-240

さらに、さまざまなセスナ機やビーチクラフトなども運用されていました。

結び

日東航空は、戦後の日本における航空産業の一翼を担いましたが、合併や経営の厳しさから最終的に他社に吸収され、消滅してしまいました。日東航空の運航がもたらした利便性は、多くの地域住民にとって重要な役割を果たしました。このような背景を持ちながらも消えていった日東航空の歴史は、航空業界の変遷を物語っています。

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