日枝神社 (川崎市)

日枝神社の詳細

日枝神社は、神奈川県川崎市中原区上丸子山王町に鎮座する神社です。地元では「山王さん」の名で親しまれています。創建は809年（大同4年）と古く、桓武天皇の皇子により、近江国坂本の日吉大社から分霊を勧請したと伝えられています。この創建にまつわる伝承が、所在地の「上丸子山王町」という地名の由来となっています。

祭神

日枝神社では、以下の七柱の神々が祀られています。

大己貴神（おおなむちのかみ）
家都御子神（けつみこのかみ）
建御名方神（たけみなかたのかみ）
応神天皇（おうじんてんのう）
天照大御神（あまてらすおおみかみ）
菅原道真（すがわらのみちざね）
日本武尊（やまとたけるのみこと）

歴史

創建当初は丸子山王権現と称していましたが、1869年（明治2年）に日枝神社と改称しました。中世以降は、社僧ではなく専任の神職が在籍していたことが特徴です。これは、川崎市内では稲毛神社と白幡八幡大神の二社のみの事例でした。戦国時代には、小田原北条氏や豊臣秀吉から手厚い保護を受け、その証として、北条氏の虎の印判状や、豊臣秀吉が近江日吉大社に架けた大神橋の橋脚の一部が奉納されています。江戸時代には、徳川幕府第3代将軍の徳川家光から20石の社領が与えられました。

年表

日枝神社の歴史を年表でまとめると以下のようになります。

809年（大同4年）6月14日：近江国（滋賀県）大津の日吉大社から分霊を勧請し、丸子山王権現として創建。桓武天皇の皇子、貞恒親王の次男である恵恒僧都（山本平左衛尉恒重）が初代宮司となる。
1178年（治承2年）：平重盛が社殿を再建し、現在も社宝として伝わる小太刀を奉納。
1642年（寛永19年）8月17日：徳川家光より20石の社領が与えられる。
1869年（明治2年）：山王権現を日枝神社と改称。
1918年（大正7年）：村内八幡社・天神社・第六天社・野社・神明社・諏訪社・杉山社を合祀。
1923年（大正12年）9月1日：関東大震災の際、幣殿・拝殿が倒壊。
1928年（昭和3年）：幣殿・拝殿が再建。
1951年（昭和26年）：御神輿を新調。
1979年（昭和54年）：再建800年。
2009年（平成21年）：御鎮座1200年。

境内

2009年の御鎮座1200年を機に、多くの建造物が改修されました。境内には、1979年に日吉大社から移設された豊臣秀吉寄進の御神橋の橋脚や、本殿と向かい合うように建てられた神楽殿などがあります。また、御神木である樹齢700年の杉の樹根は、かつて「山王さんの大杉」として親しまれていました。大神輿庫には、江戸時代に制作された初代大神輿と、1951年に制作された現在の大神輿が納められています。さらに、山王会館という施設があり、多目的室として利用できます。

境内社

境内には、稲荷神社と大鷲神社の社殿があり、2009年に覆い屋が改築されました。

文化財

日枝神社には、以下の文化財が所蔵されています。

後北条氏の虎の印判状（丁亥八月十八日付）（川崎市重要歴史記念物）
後北条氏の虎の印判状（庚寅三月十六日付）（川崎市重要歴史記念物）
徳川氏奉行人（代官頭）連署奉書（文禄四年二月二十六日付）（川崎市重要歴史記念物）
日枝神社本殿（川崎市重要歴史記念物）
山王権現社境内絵図（寛政二年戊年十一月）
棟札（元文五（申・庚）歳五月大吉祥日）

年中行事

日枝神社では、年間を通して様々な行事が執り行われています。

1月1日：元旦祭（初詣）
1月第2日曜日：おんべ焼き
2月3日もしくは2月4日：節分祭
2月第3日曜日：びしゃ祭
4月第3日曜日：やまぶき祭
8月13日～15日：山王祭
11月の酉の日：酉の市
11月中（15日）：七五三
12月30日：大祓

交通アクセス

日枝神社へのアクセスは以下の通りです。

相鉄線・JR直通線・横須賀線 武蔵小杉駅より徒歩12分
東急東横線・東急目黒線 新丸子駅より徒歩13分
東急多摩川線 沼部駅より徒歩15分
JR南武線 向河原駅より徒歩10分

出典

神奈川県高等学校教科研究会社会科部会歴史分科会 編『神奈川県の歴史散歩 上（歴史散歩14） 川崎・横浜・北相模・三浦半島』山川出版社、2005年
“神奈川県川崎市｜地鎮祭｜七五三｜厄除｜日枝神社”. 日枝神社. 2023年9月1日閲覧。
“日枝神社”. 神奈川県神社庁. 2023年9月1日閲覧。

外部リンク

丸子山王日枝神社
日枝神社・東横線新丸子駅下車・川崎市中原区丸子の氏神
御朱印・神社メモ 丸子山王日枝神社 / 神奈川県川崎市
日枝神社 - 神奈川県神社庁
神社人 - 丸子山王日枝神社

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