日比野拓

日比野拓（ひびの たく）は、1972年に神奈川県鎌倉市に生まれた日本の建築デザイナーです。現在は日比野設計の代表取締役会長を務め、特に保育園や幼稚園といった幼児施設の建築分野における国内有数の専門家として知られています。

日比野氏の活動の核となっているのが、自身が立ち上げた建築ブランド「幼児の城」です。このブランドのもとで設計された施設は、子供たちの健やかな成長を育む環境づくりを追求しており、その独創性と機能性は国内外から高く評価されています。これまでに設計に携わった幼児施設は、日本国内だけで600件を超え、海外でも40件以上の実績を積み重ねています。その豊富な経験と実績は、幼児施設建築の分野における彼の地位を確固たるものにしています。

建築設計者としての顔を持つ一方、日比野氏は教育環境に関する多角的な探求も行っています。大学と積極的に連携し、自身が手掛けた設計事例の追跡調査や効果検証を含む研究活動に従事しており、これらの成果は多数の共著論文として発表されています。理論と実践を融合させる姿勢は、彼の建築に対する深い洞察を物語っています。

さらに、日比野氏の活動範囲は建築設計に留まりません。2020年には、自らが理想とする保育の形を追求するため、自身の保育園「KIDS SMILE LABO」を設立しました。この保育園は、開設から間もなく神奈川県厚木市において最も入園が困難な施設の一つとなるほどの人気を集めています。また、2018年には「地産地消」と「オーガニック」をコンセプトにしたレストラン「2343」を立ち上げ、現在は「2343FOODLABO」「2343DEPARTMENT」を含む3店舗を展開するなど、食を通じた地域貢献やライフスタイル提案も行っています。地域創生活動にも熱心で、海老名駅前で開催される「ICHIGO MARCHE（イチゴマルシェ）」はその代表的な取り組みの一つです。子供たちのために質の高い家具がない現状を改善すべく、自身でデザイン・製造を行うための「KIDS DESIGN LABO」も設立しており、その活動は多岐にわたります。

教育や建築、地域活性に関する知見を広く伝える活動も行っており、国内外で年間20回程度の講演やセミナーを実施しています。その分かりやすく実践的な内容は好評を博し、人気の講師として招かれています。

主な著書・共著論文には以下のようなものがあります。

『幼児の城』シリーズ（日比野設計・日比野拓 監修）
『世界でたったひとつの園舎づくり』
『愛される園舎のつくりかた』
『笑顔がいっぱいの園舎づくり』
『The World Designed for Children』（Taku Hibino 著、海外出版）
「行動観察調査との誤差を少なくするための3 点測量の範囲に関する研究」（日本建築学会）
「保育施設におけるアロマの保育的効果に関する研究」（日本建築学会）
「子どもの基礎運動能力が向上するための遊び環境づくりに関する研究」（日本建築学会）
* 「内装木質化の保育室に関する保育者による評価」（日本建築学会）

日比野拓氏の活動は、単なる建築設計を超え、子供たちの未来、地域の活性化、そしてより良い教育環境の創造を目指す包括的な取り組みと言えます。その革新的なアイデアと情熱は、多くの人々に影響を与えています。

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