日産・フィガロ

フィガロ（Figaro）

フィガロは、日産自動車が1991年から1992年の期間に販売した小型乗用車で、特にレトロなデザインとオープンカーとしての特性を持っています。このモデルは、日産のパイクカーシリーズの一環であり、初代マーチ（K10型）を基にした3つ目の車両として登場しました。

特徴とデザイン

フィガロは、レトロ感のある外装と特長的なデザインが魅力の小型オープンカーです。特徴的な手動で開閉できる屋根や高級感のある本革シートを装備しており、運転する楽しさと快適さを両立させています。型式はFK10型で、このシリーズで唯一のターボエンジンを搭載し、走行性能も確保されています。また、軽量化のためにフロントフェンダーには熱可塑性樹脂が使用されています。

そのコンセプトは「日常の中の非日常」であり、日常の生活を特別なものにするという思想が込められています。当初は8000台の限定生産が計画されていましたが、予想以上の人気により販売台数が増加し、最終的に2万台が販売されました。これに伴い、販売方法としては抽選方式が採用されました。

国外での人気

フィガロは日本国内での販売に限られていましたが、他国、特にイギリスでは圧倒的な人気を誇りました。著名なミュージシャンであるエリック・クラプトンが所有したことでも話題になりました。イギリスでは多くの中古車が輸入され、フィガロ専門の中古車店も存在しています。現在はオックスフォードシャーにある「The Figaro Shop」がレストアや車検、整備を行っており、関連するパーツのリプロダクト品を世界中から購入することが可能です。

2008年にはイギリスでフィガロオーナーが一堂に会するイベントが開催され、2019年時点で3000台以上のフィガロがイギリスで現役車として登録されています。

乗車と内装

定員は4名ですが、後部座席は大人には少々窮屈な設計になっています。シートは専用デザインの本革製で、インテリアは白を基調に仕上げられています。ボディの色と同系色のアクセントが施され、外装と内装の調和が図られています。

フィガロの新車販売価格は187万円でした。1991年にはフィガロをテーマにしたオムニバス映画『フィガロ・ストーリー』が公開され、都市、恋愛、車というテーマで著名監督による作品が全国で公開されました。また、フィガロは1991年10月に通商産業省選定のグッドデザイン賞を受賞するなど、そのデザイン性も広く評価されています。

車名の由来

この車の名前は、モーツァルトの歌劇「フィガロの結婚」に登場する機知に富んだ主人公にちなむものです。フィガロは、遊び心と華やかさを持つクルマとして、多くの人々に愛され続けています。特にポストモダニズムの象徴としてデザイン評論家に評価されるなど、その地位を確立しています。

フィガロは今後も、レトロカーとしての魅力や、日産の歴史の中での特別な存在感を持ち続けるでしょう。

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