日産・CMF

CMF：革新的なモジュール式プラットフォーム

ルノー・日産・三菱アライアンスは、多様な車種を効率的に開発・生産するために、共通モジュールファミリー（CMF: Common Module Family）と呼ばれるプラットフォームを開発しました。CMFは、従来のセグメント別設計から脱却し、複数の車種に共通のモジュールを多用することで、開発コストと製造コストの大幅な削減を実現する画期的なシステムです。

CMFの構成と設計思想

CMFは、「コックピット」、「エンジン」、「フロントアンダーボディ」、「リヤアンダーボディ」、「電子アーキテクチャー」という5つの主要モジュールから構成されています。これらモジュールを組み合わせることで、コンパクトカーから大型SUVまで、幅広い車種に対応できる柔軟性を実現しました。

この設計思想は、フォルクスワーゲンのMQBやボルボのSPA/CMAといったモジュール化プラットフォームと共通点がありますが、トヨタのTNGAやダイハツのDNGAとは、モジュール構成や開発アプローチにおいて異なる点も存在します。CMFは、スケールメリットを最大限に活かし、部品の共通化によるコスト削減、開発期間の短縮を徹底的に追求しています。

CMFのメリット

CMFの導入によって、ルノー・日産・三菱アライアンスは以下のようなメリットを享受しました。

開発費の削減: 共通モジュールの利用により、設計・開発にかかるコストを大幅に削減できました。
部品点数削減: 部品の共通化により、部品点数を削減し、在庫管理や物流コストを低減しました。
製造コスト削減: 生産ラインの共通化、部品調達の効率化により、製造コストを削減しました。
開発期間の短縮: 設計・開発プロセスの効率化により、新車開発の期間を短縮できました。

これらのメリットにより、各車種の開発費用と製造コストを抑え、競争力の強化に貢献しています。

CMFの採用車種

CMFは、2013年に発表された日産ローグとエクストレイルを皮切りに、日産、ルノー、三菱、インフィニティ、ダチア、ルノーコリア、東風汽車など、アライアンス傘下の多くのブランドの車種に採用されています。さらに、メルセデス・ベンツの一部車種にも採用されるなど、その適用範囲は非常に広範囲に及んでいます。

CMFは、主に以下のサブプラットフォームに分類されます。

CMF-A: 軽自動車クラス
CMF-A+: コンパクトカークラス
CMF-B: コンパクトカーからCセグメントクラス
CMF-C/D: CセグメントからDセグメントクラス
* CMF-EV: 電気自動車

それぞれのサブプラットフォームは、車格や車種特性に合わせて最適化されていますが、共通のモジュールを多く使用することで、開発効率とコスト削減を両立させています。

CMFの今後の展開

CMFは、今後もアライアンスの主力プラットフォームとして、新たな車種開発に活用されていくと予想されます。将来的な電動化や自動運転技術の進化に合わせて、CMFも継続的に改良・発展していくことが期待されます。

CMFは、自動車業界におけるモジュール化プラットフォームの成功例として、今後他の自動車メーカーにとっても重要な参考となるでしょう。 その効率的な設計思想と広範な採用実績は、今後の自動車開発に大きな影響を与える可能性を秘めています。

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