日米行政協定

日米行政協定：在日米軍の基地と地位をめぐる協定

1952年、日本国とアメリカ合衆国は、安全保障[[条約]]第3条に基づき、在日米軍の基地・地位に関する行政協定を締結しました。この協定は、サンフランシスコ平和条約と旧日米安全保障[[条約]]に続く、重要な合意でした。

協定締結の背景

第二次世界大戦後、日本はアメリカ合衆国の占領下に入りました。しかし、1951年のサンフランシスコ平和条約により、日本の独立が約束されると、在日米軍の地位と役割を定める必要性が生じました。旧日米安全保障[[条約]]第3条では、米軍駐留のための協定を締結することを予定しており、この行政協定はその具体的な内容を定めるものでした。

1952年1月、東京で本格的な交渉が始まりました。この交渉では、占領期から米軍が使用していた土地や施設について、特に新たな合意がなければ米軍が継続して使用できるという内容の「岡崎・ラスク交換公文」が重要な役割を果たしました。

岡崎勝男とディーン・ラスクによって署名されたこの協定は、同年2月28日に調印され、サンフランシスコ平和条約、旧日米安全保障[[条約]]と同じ4月28日に発効しました。しかし、日本の国会での審議は経ていませんでした。

協定の内容と合同委員会

行政協定は、在日米軍の施設、区域、活動に関する様々な事項を規定しています。その中でも重要な要素は、日米合同委員会の設置です。この委員会は、協定に関するあらゆる事項について協議するための場として、両国政府の代表者によって構成されました。

合同委員会は、個々の施設や区域に関する合意を締結する役割も担い、1952年7月には、具体的な施設や区域の使用に関する合意が締結されました。

しかし、この行政協定は、1960年に日米地位協定によって後継協定に置き換えられました。日米地位協定にも合同委員会が設置されていますが、両委員会は別個の組織であり、行政協定下の合同委員会でなされた合意の効力継続性については議論の余地があります。日本政府は、地位協定の審議において、行政協定下の合意を「一応引き継ぐ」ものの、新しい委員会で検討していく姿勢を示しました。

情報公開と公式議事録

行政協定には、各条項の解釈などを記した公式議事録が存在します。しかし、合同委員会の議事録など、多くの関連文書は、慣例により、両国の合意がない限り公開されない状態となっています。外務省も、これらの文書は原則非公開であるという立場をとっています。

行政協定と日米地位協定

1960年に発効した日米地位協定は、この行政協定の後継協定と位置付けられています。日米地位協定は、在日米軍の地位や特権に関する詳細な規定を定めており、現在も有効な協定です。日米行政協定は、日米地位協定へとその役割を移行し、歴史的な文書として位置づけられています。行政協定と地位協定、そして両協定に関連する合同委員会の活動は、日米関係の重要な部分を構成する歴史的経緯と現状を理解する上で欠かせない要素です。

まとめ

日米行政協定は、戦後日本の独立と、在日米軍の駐留という複雑な状況下で生まれた歴史的な協定でした。その内容は、後継の日米地位協定に引き継がれながらも、その存在意義と歴史的価値は依然として重要です。今後、日米関係や在日米軍に関する議論を行う際には、この行政協定の内容と背景を理解することが不可欠となります。この協定は、日米安全保障体制の基盤を築く上で重要な役割を果たしただけでなく、現在の日米関係を理解する上で重要な歴史的資料となっています。

もう一度検索