日系ウルグアイ人

日系ウルグアイ人：歴史と文化の架け橋

日系ウルグアイ人とは、日本にルーツを持ちながら、ウルグアイの市民権を有する人々を指します。彼らの歴史は、20世紀初頭の日本からの移民に始まり、ウルグアイ社会に深く根を下ろしてきました。

初期の移民と花卉栽培

ウルグアイへの最初の日本人移民は、1908年に雑貨店の支店開設のために派遣された坪田静仁と、宇野テルオでした。坪田はウルグアイ人女性と結婚しましたが子孫は残らず、宇野はウルグアイに直接移民した最初の日本人とされています。当初、ウルグアイはブラジルなど他のラテンアメリカ諸国に比べて日本人移民が少なかったものの、花卉栽培という分野でその存在感を示しました。日系ウルグアイ人の多くは花農家として働き、ウルグアイの園芸文化の発展に大きく貢献しました。

戦時中の苦難と戦後の再出発

第二次世界大戦中、日系ウルグアイ人はドイツ系やイタリア系ウルグアイ人と同様に、敵性外国人として厳しい状況に置かれました。日本語での出版が禁止され、一部はアメリカに強制収容されるなど、苦難の時代を過ごしました。しかし戦後、数百人の日系人が難民としてウルグアイに帰還し、再びこの地で生活を始めました。また、日本の経済発展に伴い、ビジネス目的でウルグアイを訪れる日本人も増え、日系コミュニティは新たな活気を取り戻しました。

社会への融合と文化の継承

現在、日系ウルグアイ人はウルグアイ社会に深く溶け込み、その勤勉さと誠実さから尊敬を集めています。彼らはウルグアイの文化の一部として認識され、社会の中心的な存在となっています。同時に、日系ウルグアイ人は日本文化を大切にし、継承する努力も続けています。

日本とウルグアイの友好関係

日系ウルグアイ人の存在は、日本とウルグアイの友好関係を深める上で重要な役割を果たしています。2008年の日本人移民100周年記念式典では、憲仁親王妃久子殿下が「日系人が品種改良した新たな品種はこの国を華やかに装飾しています。ひた向きな勤勉さと誠実かつ正直なところがウルグアイの社会で信頼と尊敬をかち得たことを同じ日本人として誇りに思います」と述べ、日系人の貢献を称えました。

また、2011年の東日本大震災の際には、日系ウルグアイ人会が中心となって追悼式が行われ、ウルグアイ社会からも温かい支援が寄せられました。2018年には安倍晋三首相がウルグアイを訪問し、日系ウルグアイ人と懇談するなど、両国間の交流はますます活発になっています。

言語と宗教

多くの日系ウルグアイ人はスペイン語を母語とし、日本語を話せる人はごく少数です。教育水準の高い人々は英語も理解できます。宗教的には、大多数がカトリック教徒ですが、仏教を信仰する人もいます。

著名な日系ウルグアイ人

日系ウルグアイ人の中には、女優のバルバラ・モリやケニヤ・モリ、シンガーのキンタロウ・モリなど、様々な分野で活躍する人々がいます。

ホセ・ムヒカ元大統領とのエピソード

第40代大統領のホセ・ムヒカは、少年時代に日系ウルグアイ人の造園業を手伝い、造園のノウハウを学んだことを語っています。このエピソードは、日系人がウルグアイ社会に深く根付いていることを示す一例と言えるでしょう。

メディアでの登場

漫画『キャプテン翼 ワールドユース編』には、日系ウルグアイ人のサッカー選手、火野竜馬が登場します。また、同作には、ウルグアイ代表の監督として日系ウルグアイ人のマチルダ尽之助が登場するなど、フィクションの世界においても日系ウルグアイ人が描かれています。

まとめ

日系ウルグアイ人は、ウルグアイ社会の発展に貢献しながら、日本とウルグアイの文化を繋ぐ架け橋として、重要な役割を担っています。彼らの歴史は、移民の苦労と成功、そして多様性を受け入れるウルグアイ社会の寛容さを示す象徴と言えるでしょう。

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