日英包括的経済連携協定

日英包括的経済連携協定の概要

日英包括的経済連携協定（Japan-UK Comprehensive Economic Partnership Agreement、略称: EPA）は、日本とイギリスの間で新たな経済的関係を築くことを目的とした協定です。この協定は、2020年10月23日に署名され、2021年1月1日に発効しました。日本では、この協定は国会承認を経た条約として位置づけられています。日本国内における正式な題名は「包括的な経済上の連携に関する日本国とグレートブリテン及び北アイルランド連合王国との間の協定」で、令和2年条約第16号として登録されています。また、英語では "Agreement between the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland and Japan for a Comprehensive Economic Partnership" というタイトルが付けられています。

背景

この協定は、イギリスのEU離脱に伴う新たな貿易関係の構築の必要が高まっていたことから、締結が進められました。日本とEU間の経済連携協定（日EU・EPA）が2019年2月1日に発効した段階では、イギリスはEU加盟国であったため、日EU・EPAが適用されていました。しかし、イギリスがEUを離脱したことにより、日英間で新たな協定を締結する必要が生じました。

イギリスのEU離脱に関連する手続きを経て、2020年1月31日に正式にEUを離脱。その後、2020年2月からは移行期間が始まり、イギリスと日本は日EU・EPAを基にした関税税率を活用する形で新協定の交渉を進めていくこととなりました。経済的パートナーシップの構築に向けた初の確認は、2020年2月8日の外相戦略対話で行われました。

交渉の進展

2020年に入り、イギリス政府が「UK-Japan free trade agreement: the UK's strategic approach」を発表したことを契機に、交渉の枠組みが確立されました。6月に入ると日本の外務大臣とイギリスの国際貿易大臣との間でテレビ会談を行い、交渉を正式に開始。以降、数回のテレビ会談と対面での協議を通じて、双方の合意形成が進められました。

8月には、主要な論点についての実質合意に達し、特にブルーチーズに関連する品目についての最終調整が必要とされました。最終的には、関税の特例を設けることで日EU・EPAの低関税枠をイギリスにも適用する合意に達しました。

合意の承認と発効

協定の内容が整った後、2020年11月には日本国内での国会承認が行われました。この際、議会での質疑応答を経て、12月には協定の効力発生に向けた各種手続きが完了。2020年12月18日には日本とイギリスの双方の手続きが完了した旨の通知が交わされ、日英EPAは2021年1月1日より効力を発揮することになりました。

協定の主要内容

日英EPAでは、日EU・EPAを基にした関税の引き下げ、貿易の自由化、デジタル貿易の新たな規定などが盛り込まれています。農産品の扱いについては、過去の父母協定を引き継ぎつつも、イギリスに配慮した低関税枠の設定が行われました。また電子商取引や金融サービスについては、日EU・EPAを大きく上回る内容が規定されています。特に情報の越境移転やデータ保護に関する厳しい規制が導入されており、国際的なビジネス環境に即した進化が見られます。

全体として、日英EPAは日本とイギリスが今後も互いに発展し合うための基盤を築く重要なステップとなることでしょう。

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