日銀ダイヤ作戦

日銀ダイヤ作戦

『日銀ダイヤ作戦』は、大藪春彦による人気ハードボイルド小説であり、伊達邦彦シリーズの第三弾です。本作は、前作『諜報局破壊班員』から続く物語として位置づけられており、主人公の伊達邦彦が再び登場します。物語は、邦彦が英国秘密諜報部の破壊活動班員として日本に帰国し、マフィアによるダイヤ強奪計画に関与するという緊迫したストーリーが展開されます。

概要

この作品は、短編「汚れた宝石」を元にしており、邦彦の帰国によって新たな展開が繰り広げられます。特に魅力的なのは、ダイヤという価値のある宝石を巡る陰謀や騙し合い、そして邦彦が直面する切迫した状況です。

あらすじ

物語は、伊達邦彦が日本に戻るところから始まります。彼の任務は、ダイヤを狙うマフィアの計画に協力した後、ダイヤを取り戻してマフィアを壊滅に追い込むことです。しかし、邦彦の前には刺客が待ち受けており、彼もまたダイヤを奪おうとする者として各国の陰謀に巻き込まれていきます。

邦彦は、マフィアに近づくために、諜報部を辞めたいと嘘をつきながら彼らに接触します。しかし、その信じられない申し出により、彼は拷問を受け、忠実な秘書であったリンダがCIAのスパイであったことが明らかになります。邦彦は自身の立場を守るために、自らの情報を提供しつつ、マフィアの仲間入りを果たすことに成功します。

しかし、事態は思わぬ方向へと進展します。マフィアは周到に計画を練り、ダイヤを奪うための襲撃を準備していました。運命の瞬間が訪れ、金庫破りの手助けを借りてダイヤを手に入れますが、邦彦はマフィアに見捨てられそうになります。彼は自らの拳銃に細工を施しており、なんとか危機を脱出しますが、その後も彼を待ち受ける危険は続きます。

最終的に、日銀の屋上にマフィアのヘリコプターが現れ、奪ったダイヤの取引を行う様子が描かれます。邦彦はその中の1台を乗っ取り、追跡を開始しますが、撃墜されてしまいます。命を救ったのは漁船で、地上にたどり着いた彼は、新たな秘書と合流しようとしますが、その水に含まれていた睡眠薬により意識を失います。

目を覚ますと、彼の前に現れたのは上司のパーキンス。彼は中国の工作員であり、ダイヤを狙う計画に邦彦を巻き込もうとします。邦彦は無人島での戦闘に参加し、他の工作員たちと共にダイヤを奪うための任務に挑むこととなります。情勢が変わる中で、邦彦は冷静に状況を見極め、自らの生き残りをかけて動き出します。

この物語は、忠誠心や裏切り、サスペンスなどさまざまな要素が絡み合い、読者を惹きつける展開が続きます。邦彦は最終的に、諜報部員を辞め、どのような未来を選ぶのか。その選択が物語の結末へとつながっていきます。

出版履歴

『日銀ダイヤ作戦』は1969年から1970年まで、プレイコミックに連載され、1970年に光文社から新書版として発売されました。その後、1980年には角川書店より文庫版が、1994年には再び光文社から文庫版が刊行されています。

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