旧室谷家住宅

旧室谷家住宅：ヴォーリズ建築の邸宅、その栄光と終焉

旧室谷家住宅は、かつて兵庫県神戸市須磨区に存在した邸宅です。この邸宅は、木材商であった室谷藤七のために、著名な建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズによって設計されました。ヴォーリズの設計により、チューダー様式が見事に表現された建物でしたが、室谷の没後、所有者が変わり、最終的には解体されるという運命をたどりました。

建築概要

設計: ヴォーリズ建築事務所
施工: 竹中工務店
竣工: 1934年（昭和9年）
構造: 1階レンガ造、2～3階木造
所在地: 兵庫県神戸市須磨区離宮前町2-9

この邸宅は、ヴォーリズの設計、竹中工務店の施工という、当時の最高の技術によって建てられました。レンガ造と木造を組み合わせた構造は、チューダー様式の美しさを際立たせていました。

歴史

1934年: 建築開始
1935年: 竣工
1945年: 第二次世界大戦中、近隣の武庫離宮が爆撃されるも、室谷邸は無事
1946年: 日本政府の管理下となり、アメリカ陸軍将校とその家族が居住。室谷家の人々は屋敷の一部に追いやられる
1951年: 室谷家へ返還
1995年: 阪神・淡路大震災で煙突が倒壊するも、修復
1996年12月20日: 国の登録有形文化財に登録
2000年: 神戸市指定文化財への登録を辞退。セキュリティ上の問題が理由
2005年: 不動産会社に買収される。美術館としての保存が条件
2006年: 明け渡し。年末には取り壊しが報道される
2007年3月: 買主により解体
2007年12月5日: 登録有形文化財としての登録抹消
2010年: 跡地に分譲マンション「パークコート須磨離宮公園前」が建設

第二次世界大戦や阪神・淡路大震災を乗り越え、一時は文化財として登録された旧室谷家住宅ですが、最終的には解体という形でその姿を消しました。その背景には、所有者の意向や維持管理の問題、そして時代の流れがありました。

解体とその影響

2007年、旧室谷家住宅はついに解体されました。この解体は、地域住民や建築関係者にとって大きな衝撃でした。ヴォーリズの貴重な建築作品が失われたことは、文化的な損失と言えるでしょう。解体後、跡地には分譲マンションが建設され、かつての邸宅の面影は完全に消え去りました。

旧室谷家住宅の解体は、文化財の保存と活用、そして都市開発のあり方について、私たちに多くの問いを投げかけています。この邸宅の歴史を振り返ることは、今後の文化財保護のあり方を考える上で重要な意味を持つでしょう。

関連項目

阪神間モダニズム

外部リンク

ヴォーリズを訪ねて:神戸須磨の室谷邸

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