旧弘前偕行社

旧弘前偕行社について

旧弘前偕行社（きゅうひろさきかいこうしゃ）は、青森県弘前市に位置する重要な歴史的建物であり、1907年に建設されました。元々は旧陸軍第8師団の将校たちが集うための社交場として設けられたもので、現在でもその時代の面影を残しています。また、2001年には国の重要文化財に指定されています。

建築の特徴

この建物は、ルネサンス様式を踏襲した木造の平屋建てで、東西に延びる桁行きは約48.8メートルです。屋根はトラス構造を採用しており、左右に作られた翼棟がその存在感を一層引き立てています。正面玄関は切妻屋根つきの車寄せが特徴的で、陸軍の建築物としてのスタイルを如実に示しています。また、その三角破風には第8師団にちなむ“蜂”の木製装飾が施されており、このような細部にわたる洒落が当館の魅力の一つとなっています。

豪華な内部

内部では、師団長室の壁はクロス張りになっており、床にはじゅうたんが敷かれています。暖炉には外国製の材料が使用されている可能性があり、当時の将校たちが享受していた社交的な空間を伺わせます。この豪華さは、ただの集会所ではなく、特別なコミュニティのための空間であったことを示しており、当時の陸軍の重要性や地位を反映しています。

建築過程とその後

当館の設計者である堀江佐吉は起工からわずか2ヶ月後に他界しましたが、棟梁には長男の彦三郎が、世話係には六男の金蔵が付き、家族の手によって建築が完成されました。本建物は1908年には皇太子嘉仁親王、1915年には大正天皇の行幸の際に行在所として使用されました。その後、1945年には弘前女子厚生学院に転用され、1949年には関連の大蔵省から払い下げられ同学院が所有することとなりました。

現在の状況

旧弘前偕行社は1980年から弘前厚生学院記念館として保存されており、一般に公開されています。2013年11月からは修復工事が行われており、古い写真や資料の提供も求めています。この活動を通じて、歴史的建物の歴史を未来へと繋げる重要な役割を果たしています。

アクセス情報

旧弘前偕行社へのアクセスは、奥羽本線弘前駅からバスに乗り約7分、富田三丁目もしくは弘前大学前で下車し、そこから徒歩約6分です。

2025年には弘前厚生学院が閉校予定であるため、今後もその動向が注目されます。歴史的価値を持つこの建物が、どのように保存され、活用されていくのか、是非注目していきたいところです。

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